武則天 #68 女児誕生

 呉王が会っていたのは李勣だった。

呉王は長安を離れる理由は捲土重来を果たす為で、一年後精鋭を連れてきて長孫無忌の天下を覆えしてやる、その時李勣は関わらないで欲しいと言い、李勣も関わらないと応じます。

このやり取りを李義府から聞いた媚娘は呉王への疑いが完全に消える。

 

 呉王を見送る高陽公主は「媚娘は本当にただの友達で?」と聞くと

呉王はに何も答えず旅立った。

 

 雉奴は、王徳から呉王と李勣が密会していたと報告を受ける。

 

 媚娘は女の子を産み、子は安定公主に封じられた。

忙しい媚娘より高陽公主の方が安定公主の世話をする時間が多くなっていた。

 

 皇后が連れてきた道士の針治療で雉奴の病が治癒したという。

皇后は道士である明氏に褒美の品を取らせその場に蕭淑妃も招いていた。

明氏は自分は治療より厭勝の術の方が得意技だと言い蕭淑妃の書いた数字を当てた。

 皇后は高殿に明の素性、とりわけ家柄、郷里、洛陽に住む前の経歴をしっかり調査するよう命じる。 

 

 皇后が遣わした明氏のおかげで中風の症状が和らいだ雉奴は、褒美として立政殿に泊まることに。

久し振りの二人の時間だったが、雉奴が弘と安定公主の名前を出した事で皇后の機嫌が悪くなり、険悪な雰囲気になる。

 雉奴は「己に適するものは奪われぬが、分不相応なものにしがみつくのは不毛だ」と

言い放ち、一層重い空気になる。

 皇后は雉奴に自分の真心を見てもらうにはどうすればよいのかと尋ねる。

雉奴は見ていると言い、皇后が自分の地位を保つため多くを犠牲にしたと返す。

皇后は、醜い争いを避ける者は後宮で生き残れないと訴え、後宮で行った犠牲を後悔していない、唯一の後悔は子を産めなかったことと陛下と心が通わぬことだと打ち明けた。

だが雉奴は厳しい顔のまま無言で首を振るだけだった。

 

 瑞安は媚娘の元に「内訓」が完成したとして現物を届けに来た。

それを見た媚娘は満足気な表情を浮かべる。

そして李義府が用意した奏上を明日提出することを確認し

 「ようやくこの時が来た」

と呟く媚娘。

 

 朝儀の場で李義府は、門閥貴族のみが格付けされている氏族誌の旧書を破棄し家柄に関わらず一定以上の者みんなを記載しものを新たに編纂するよう奏上した。

長孫無忌らは強く反発、李義府の左遷を中書省に命じようとする。

李義府は左遷されることを見越して奏上文を雉奴が読むよう手配していた。

奏上文を読んだ雉奴は、喜び李義府を召し褒美を下賜するよう王徳に命じた。

 

皇后の元に媚娘から内訓が届く。

その場にいた蕭淑妃にも届けられたことが告げられ二人は激怒。

そこへ李義府が廃后の奏上文を出した事、そのことで昇進して褒美を下賜されたとの報告が入る。

呆然とする皇后は

「己に適するものは奪われぬ

分不相応なものにしがみつくのは不毛だ」

という雉奴の言葉を思い出す。

 

 皇后の元に明氏が訪れたという報告が蕭淑妃に届く。

蕭淑妃は皇后と媚娘を一緒に始末できる機会が訪れたと不敵な笑みを浮かべる。

皇后の元を訪れた明氏は媚娘に見立てた人形に針を刺し7日後に媚娘は急死すると予言し寝台の下に人形を置いた。

 

 廃后の会議の場、李勣は急病を理由に欠席していた。

廃后の話に長孫無忌側は猛反発。

長孫無忌は「子を産まない以外の悪徳を証明して下さい」と言い

その上誰を皇后にするのかは別問題だとも言うのだった。

激しい応酬が続く中、弘急病の知らせが入り雉奴は媚娘の元へ急ぐ。

 

長孫無忌は李義府の一連の行動の流れに疑問を抱くのだった。

 

~我的感想~

 高陽公主の問いに答えなかった呉王様‥

 呉王にとって媚娘は少し惹かれる存在だったのかな、呉王好きとしてはとても気になります。

 

 針治療を担当してた明氏、何かありそうですね。

数字を言い当てるのあのパターン、この時代からあったんでしょうか(笑

 

 この回で一番心に残ったのは 皇后と雉奴との久し振りの二人の場面でした。

とにかく見ていて辛い、どんどん辛くなっていく展開。

雉奴からしたら病を治してくれた「ご褒美」として皇后の元を訪れてあげたという感覚、一方皇后は待ちに待った雉奴お出ましを心待ちにしていたと思います。

せっかくの時間だから自分の陛下への想いを知って欲しかったと思うのです。

皇后が後宮で行った犠牲とは悪事のことで、それを後悔していないと言ってしまったこともそれだけの犠牲があっても陛下への想いが勝ると伝えたかったのかもしれない。

でも雉奴に想いが伝わるどころかますます嫌がられてしまって、結局廃后への道に進んでしまうことに。

ひどいことをした皇后だけど愛する人に冷たい態度を取られてあんな目で見られたらめちゃめちゃ辛いと思います。

 

 一方蕭淑妃は皇后の廃后が決まりそうなので態度が変わり始めます。

蕭淑妃らしいですね(嫌悪感)。

 

 長孫無忌らをけん制する目的とはいえ氏族誌をこれまでのものと違い新たに編纂する件はいい試みですよね。

 則天武后の時代に身分に関係なく人を登用したということに繋がる話ですかね。

 

 媚娘は、皇后を怒らせるために内訓を送りました。

長孫無忌、褚遂良の反発は激しいものがあります。

復讐を諦めない媚娘はこの先どうやって切り抜けていくのか気になります。