「もうお仕えできません」
跪き頭を下げる康禄海は、麗嬪から仕えろという通達があり仕方がないかのように話す。
甄嬛は「行くといいわ」と言って碎玉軒から離れることを許し、他の侍女・太監を集め
「療養中だから人手は必要ない
碎玉軒を離れたければ浣碧から銀子を受け取るといいわ」
と言い渡した。
去る者もいたが、槿汐は、「二心はない」と言い、佩児も「私めもです」と跪き、甄嬛に恩がある小允子も「絶対に裏切りません」と誓う。
甄嬛を見舞う沈眉荘と安陵容。
甄嬛の境遇と太監らが去ったことに憤る沈眉荘に
「配下は数より忠誠心でしょ」
と返す甄嬛。
寵愛を受ける沈眉荘に対し、未だ夜伽に呼ばれないままの安陵容。
安陵容は後宮に入った時に贈られた生地で作った行火を甄嬛に手渡す。
采月は、沈眉荘の為の銀子を受領するため内務府を訪れ、ついでに甄嬛の悲惨な暮らしぶりを伝えた。
そこへ頌芝が年越し用の金紙が足りないと言ってやって来た。
やんわり断る黄規全に「位の低い小主は、金紙なんて使わない」と言い、銀子を受け取る采月に「沈貴人は、罰を受けたから今月も没収かと思ったわ」と嫌味を言った。
そして今度は黄規全に「華妃が怒ってもいいの?」という言葉を残して去って行った。
碎玉軒には、沈眉荘の口添えにより内務府から年越しの品が届けられ安堵する槿汐と小允子。
また甄嬛は、皇后から指示があり大晦日の宴を欠席できることになった。
大晦日の宴が開かれ十七弟である果郡王が乾杯の音頭を取った。
西北で年羹堯が反乱を鎮圧したと上機嫌で話す雍正帝。
それを聞いた華妃は立上り「陛下にお祝いを申し上げます」と言って杯を上げる。
美しい舞が披露されている中、周寧海は華妃に端妃の宮から侍医を遣わせて欲しいとの要請が来ていることを知らせに来たが、華妃は「大晦日に不吉すぎるわ、却下して」と命じた。
甄嬛は、侍女たちと切り絵をして盛り上がっている。
甄嬛は、小允子の作った甄嬛姿の切り絵を手にし、出来を褒める。
槿汐は、甄嬛に大晦日の夜に大切な物を木に掛けると願い事が叶うという言い伝えを教え、庭の木に掛けてみることを提案する。
それを聞いた甄嬛は、倚梅園に切り絵を掛けに一人で行くと告げる。
宴の席で酒杯が進む華妃。
雍正帝は、飾られている梅をじっと見つめていたが宮中の梅を一人で見に行くと言い出し、誰もついて来ないよう命じた。
心配する皇后は、果郡王に雍正帝の後を追いかけるよう頼む。
皇后は、雍正帝が梅を見に行くと言い出したのは、華妃が梅の飾りつけを頼んだからだと果郡王に打ち明けた。
そして華妃と見やり、ため息をつく。
気まずそうな素振りの華妃。
大晦日に梅の手入れをさせられている宮女・余氏は不満を口にしながら作業をしていたが、人影を感じ身を隠した。
歩いてきたのは雍正帝だった。
一方甄嬛も切り絵を梅の枝に掛けてから手を合わせ、家族の幸せと後宮で何事もなく余生を送れるよう願っていた。
そして
「北風に心あるなら
梅を散らすなかれ」
と詩を口にする。
「誰だ」と言いながら雍正帝は声のした方に近づいていく。
その声に驚いた甄嬛は身を隠すが、雍正帝は
「出てこい、捜索させるぞ」
と言いながら声の主を探している。
甄嬛は、姿を現さず「倚梅園の宮女です」と嘘を言った。
すると雍正帝は名を尋ねてきたが、甄嬛は「名乗るほどでは」と言い返した。
甄嬛は、なおも近づいてこようとする雍正帝に履物が濡れたので来ないよう言ってから慌てて逃げた。
逃げる甄嬛の後ろ姿を見かけた果郡王は、怪訝な顔で見送る。
そして枝に掛けられた切り絵を手に取った。
一部始終を見聞きしていた余氏もその場から去って行った。
雍正帝を見つけた果郡王。
雍正帝は、囲碁と酒を酌み交わすことを果郡王と約束するが、梅だけに乾杯するのではなく
「学のある宮女がいるという喜びにもだ」
とうれしそうに言った。
雍正帝は言いつけに背き、後をつけて来た蘇培盛に倚梅園の学のある宮女を見つければ、今日の事は許すと言った。
そして宮女を探す方法について「北風に心あるなら」の下の句を問えと命じた。
碎玉軒に戻って来た甄嬛は、槿汐に団龍の模様が着られるのは誰かと尋ねる。
槿汐は、団龍を使えるのは雍正帝の認めた兄弟のみであり、雍正帝と杯を交わせるのは、五皇弟と十七皇弟で仲がいいと教える。
甄嬛は、十七皇弟について自由を愛し芸に秀でていて笛は都随一だと聞いたことがあると明かした。
倚梅園に関わる者が集められいい句を作れば褒美が出ると告げ、上の句「北風に心あるなら」が詠み上げられた。
意味が分からないそぶりの者が多数を占める中、余氏は、「梅を散らすなかれ」と口にした。
そこに蘇培盛が現れ雍正帝に茶を持ってくるよう指示すると余氏が現れ雍正帝に梅の香りがする茶を差し出す。
雍正帝のいつから仕えているのかという質問に
「梅を散らすなかれ
倚梅園で花の手入れをしていたところ蘇公公より一度だけ御前に仕えろと」
と嬉しそうに答える余氏。
次に寒さに気遣われると余氏は
「雪はやみ大晦日に濡れた履物も乾きました」
と返す。
それを聞いた雍正帝は、
「宮女余鶯児を官女子に封じる。鐘粋宮を与えよ」
と命じ、その場から去って行く際、「鷓鴣天」の詩を口にした。
何のことかわからない余氏。
果郡王は、その様子を見て雍正帝が好きな李白の詩だと教えてやった。
官女に封じられた余氏のため内務府と敬事房に向かう上機嫌の蘇培盛に対し
「気を付けて。道に迷ってもよいが間違ったものを渡すな」
と忠告する果郡王。
養心殿の中では有頂天の余氏が歌う崑曲が響いていた。
甄嬛は、沈眉荘から雍正帝が倚梅園の宮女を見初め、そして官女から答応に昇格し沈眉荘より寵愛されていることを聞く。
さらに沈眉荘は、未だに夜伽に選ばれず自分より家柄の低い宮女に先を越され、同じ位となった安陵容が辛いを思いをしていると話す。
そして雍正帝が後宮に来ても訪れるのは限られた妃嬪の元だけで寵愛を受けなければ宮女たちよりも悲惨な運命が待つと続けた。
甄嬛は、寵愛を失うのが怖いと打ち明ける沈眉荘に家柄もいいし、尽くしているのだから寵愛は続くはずだと励ます。
元宵節の礼品の確認に向かう沈眉荘と輿に乗った余氏が鉢合わせする。
今から皇后の元へ向かうので「道を空けて下さい」と不遜な態度の余氏。
~随感~
夏冬春が去ったと思ったら後釜に余氏が登場してきました。
余氏は昇格も早くて、雍正帝‥(ため息)となりました。
でも余氏役の女優さんの顔つきが余氏キャラにぴったりだし、自ら「梅を散らすなかれ」と媚びた感じで切り出していく様子(上目遣い付き!)、そして位と住まいを与えられた時の「やったぁ!」顔、余氏の役柄も態度も大嫌いですが、演技は素晴らしかったです。
病気を理由に雍正帝と会うことすら避けることに成功している甄嬛ですが、倚梅園の一件を見ていると逃れられない特別な縁を感じてしまいますね。
雍正帝じゃなければロマンティックなエピソードになるのですが‥。
倚梅園でのふわふわファーつきフード姿のスンリーさんが可愛すぎました。
OP、EDを見ているとスンリーさんってキリッとして大人美人だなぁと思っていたので倚梅園でのかわいい姿を見て結構驚きました。
甄嬛の周りに残ったのが二心を持たない人達でよかった。
あんなにアットホームなのは、碎玉軒だけではと思いながら見てました。
知れば知るほど好きになっていく性格の沈眉荘ですが、早くも寵愛順位が余氏に抜かれてしまいました。
寵愛を失って不安に思う沈眉荘を見てると辛くなってきました。
自分の将来も不安になって来るだろうし、周囲の人間に雍正帝の寵愛があの余氏に取って代わられたということも知られ、いい家柄のお嬢様である沈眉荘のプライドも傷ついているんだろうなと思うと一見華やかな後宮の過酷さを感じます。
夜伽に選ばれない安陵容もしんどいだろうし(雍正帝、安陵容の顔を覚えてなさそうな気が‥)、今の所甄嬛が一番心穏やかに過ごせてる状態ですね。