武則天 #59 渦巻く妬み心

 媚娘が現れてから見向きもされなくなったと嘆く蕭淑妃。

蕭淑妃は甘露殿に乗り込み「素節を見捨て武太妃をひいきし‥」

と訴えるが雉奴は激怒する。

そして蕭淑妃に雉奴の目を見るよう言い

「一度も欺いたことはないか」

と問い質す。

「一度もありません」

雉奴は「下がれ」と言った。

なおも食い下がる蕭淑妃に

「子を利用して朕を脅そうとするな

 素節にもしものことがあればそなたを罪に問う」

と警告する。

 

 王皇后は媚娘が現れ蕭淑妃と雉奴が仲違いしたことを喜んでいる。

しかし侍女から宮中で媚娘のお腹の子の父親が雉奴ではないか噂になっていることを聞き媚娘を追い出さないと災いになると侍女に話す。

 

 王皇后は蕭淑妃を散歩に誘う。

二人で話をしている時雉奴も通りかかる。

近くで女官たちが王皇后を蔑むようような会話をしている。

傷つく王皇后はよろけそうになり雉奴が助けた。

そしてかんざしの貢物があるから一緒に見に行こうと王皇后を誘う雉奴。

だが途中で雉奴一人で別の場所へ向かう。

王皇后をかばい、誘ったのは皇后の尊厳を守ろうとしたからだった。

 

 呉王からの奏上文には抜擢したい人物として薛万徹、柴令武、房遺愛の名が記載されていた。

雉奴は長孫無忌の

 「呉王が要職に就いた時、房遺愛や柴令武らを抜擢しなければ

  呉王への疑念は二度と口にしない」

という言葉を思い出し

 「そちとの賭けに負けたようだ」と呟く。

 

 王皇后の元に賢霊宮に仕える怜芝が密書を持って訪ねてきた。

そこには王皇后の父親から「怜芝を信用せよ」と記されてあった。

怜芝は蕭淑妃が媚娘を流産させるため竹林雅軒に送り込んだ緑芙に毒を盛らせたと明かし蕭淑妃を排除する機会になると話す。

しかしその話に乗らず怜芝を帰らせた。

王皇后は媚娘を流産させその後に蕭淑妃を追い込めばよいと考えていたからだ。

 

 瑞安は媚娘のお腹の子の父親が雉奴だという噂が宮中に流れいることを明かした。

 それを聞き驚いて立ち上がった媚娘は倒れてしまう。

 見舞いにやって来た呉王と高陽公主は、侍医から媚娘には流産の兆しがあり、堕胎薬を盛られたようだと聞かされる。

そして下手人は媚娘に仕えるものかという問いに頷く侍医。

呉王は侍医から聞いた話を媚娘に話す。

媚娘の髪をすいている緑芙の手が震えている。

 「あなたなの?」と聞く媚娘に

 「命令に従っただけ傷つけるつもりは‥」

と言い自害した。

 

 蕭淑妃を尋問する雉奴。

自分は潔白だと言い張る蕭淑妃。

雉奴が去ってから蕭淑妃は怜芝を殴り

 「やり方が杜撰だからよっ」

と怒った。

 

 媚娘はお腹の子が狙われたことで宮中を去る決意をし雉奴の許しを得た。

そして媚娘は高陽公主の誕生日の酒宴が終わってから皇宮を離れることになった。

 

 高陽公主の誕生日の酒宴で酔っ払って悪態をつく蕭淑妃はその場から連れ出された。

雉奴から出されたお茶を飲み終え高陽公主と御花園へ散歩へ行こうとしていた媚娘は急にお腹を押さえ苦しみだした。

 

 竹林雅林の寝台で眠る媚娘。

傍らには高陽公主と瑞安が付き添っている。

目が覚めた媚娘はお腹の膨らみが消えていることに気づき流産したことを知る。

雨の中、半狂乱になる媚娘を高陽公主は必死に慰める。

 

 蕭淑妃は怜芝から侍医の大半は緑芙が眉墨を使って毒を盛り流産に至ったと言っているが、周侍医らは眉墨の使用期間が短いので流産にならないという考えを示しているという情報を聞く。

 

 ~感想~

 タイトル通りの展開でとても辛い回。

 媚娘のお腹の赤ちゃんが何者かにより流産させられてしまいました。

それを知った媚娘の半狂乱の姿は見ていられなかった。

もう少しで嫌な皇宮から出て行ける所だったのに‥。

 緑芙による毒盛り工作は時間的に流産させられないようなので今回の件は蕭淑妃ではない別の人間の仕業ということになりますが、母親の立場にありながらお腹の中にいた赤ちゃんを亡き者にしようとしたり、弱い立場の李忠に偽証させたり許せないです。

 寵愛を失った蕭淑妃は白装束で突然雉奴の前に現れるというサプライズ演出を決行するも裏目の結果に。

 雉奴の寵愛を取り戻す為、勝負に出ましたね。

 あれこれ考えた蕭淑妃は雉奴が好きでいてくれていたであろう大胆不敵な面を強調する演出を選びましたが、怒りを買いより一層気持ちが離れてしまう始末。

一度離れた気持ちを取り戻すのは難しい。

雉奴の場合、最愛の人媚娘が戻って来て皇宮にいてくれているのだから余計に無理な話。

 多分同じ演出を媚娘がやったとしたら雉奴は奏上文を読んでいる途中であろうとうれしい気持ちになるんじゃないかと思います(喜ぶ姿が容易に想像できる、笑)

演出で何をするかじゃなく誰がやるかなんですよね、辛い現実です‥

 この一件で寵愛を取り戻すことは厳しいと身をもって実感したであろう蕭淑妃の媚娘への行動がエスカレートしそうで心配です。

 「子供を使って朕を脅すな」 雉奴が蕭淑妃に放った言葉ですが、雉奴、よく言ったと胸のすく思いがしました。

 

 王皇后も媚娘の存在を疎ましく感じ始めました。

蕭淑妃の側に仕える怜芝が実は自分の父親が送り込んだ間者で(これにはびっくり!)、怜芝から蕭淑妃の毒盛りの企みを聞いても王皇后は、傍観者を決め込み媚娘、蕭淑妃共倒れを期待しています。

 穏やか美人なのに雉奴から冷遇されている王皇后が個人的に好きだったのですが、変わり始めた姿を見てこれまで見てきた妃達と同じようになるんだろうなと思い悲しい気持ちになりました。

 直情型で思慮が足りない蕭淑妃とは違って長孫無忌という強い後ろ盾を持ち何事も慎重に事を運ぶスマートな王皇后は厄介な存在になりそうです。

 

 呉王は、長孫無忌の予想通り抜擢したい人物に房遺愛達を挙げてきました。

雉奴の呉王への信頼は揺らぎ二人の関係は変わって行かざるを得ないと思います。

いい関係を築いてきたのに警戒すべき相手となりました。

悪手を打ったことに気づいていないであろう呉王がもどかしくて仕方がないです。

 

 これまで善良な姿で描かれてきた媚娘が流産という悲劇を機に変わっていきそうですね。

 お腹の中で頑張っていた赤ちゃんの仇を討って欲しいと願ってしまいます。

 

 またまた長々と失礼しました&お付き合い下さりありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

武則天 #58 皇后からの贈り物

 素節にいじめられていた子を自分の部屋に連れて来てお菓子を振る舞う媚娘。

 

 呉王は李勣に面会を求めるが断られる。

そして李勣から争いの地である長安から離れれば身は安全という言づてを聞いて悩む。

 

 長孫無忌は、雉奴に呉王が長安に戻って来た李勣にすぐ会いに行ったこと魏王の配下だった房遺愛、柴令武らと親密であると明かす。

それでも呉王を信じる雉奴に長孫無忌は宮中に良心はなくあるのは勝敗のみですと諭す。

そして雉奴に賭けに出ましょうと言い出す。

呉王が要職に就いた時、房遺愛や柴令武らを抜擢しなければ呉王への疑念は二度と口にしないと言い雉奴も「朕もかけよう」と応じた。

 

 媚娘は連れてきた子が皇子で名を李忠と言い母親は封号がないことを知る。

 

 媚娘に罰を与えたい素節は怜芝から事実と異なることを主張するよう言われる。

帰って来た蕭淑妃は素節のお尻のアザが媚娘によるものだと聞き怒る。

 

 媚娘は王皇后から「観菊の宴」に招待される。

 

 李勣が呉王に会わなかったことに不満を述べる楊青玄。

 そこへ雉奴がやって来た。

雉奴は呉王を要職に就けるので長安に留まり自分のそばにいるよう言った。

呉王は褚遂良を左遷したことを心配するがそれは許敬宗をを長安に戻す切り札にする為の策だと説明した。

雉奴はこの策を考えたのは媚娘だと明かし驚く呉王。

そして雉奴は李勣が長安に戻って来たことを話すが呉王は会いに行ったことには触れず初耳のような受け答えをする。

雉奴は兵部の人選を呉王に頼み呉王も承諾した。

早速、楊青玄は房遺愛、柴令武を選ぶよう呉王に薦める。

 

 雉奴は王徳に呉王府に監視をつける勅旨を出した。

 

 長孫無忌は褚遂良の左遷など最近の動きを不審に感じていた。

長孫沖は最近の媚娘の行動を報告する文を渡すがそこには毎日媚娘に奏上文が送られていることが記されていた。

媚娘と雉奴が親交を深めていることを警戒し先帝が築いたことは何一つ壊させぬと強く言った。

 

 観菊の宴が開かれたが蕭淑妃はまだ来ていない。

王皇后は媚娘の為特別に刺繍させた「菊花の図」を贈った。

そこへ王徳が素節が病気になったので蕭淑妃は欠席すると報告。

雉奴は素節の下へ駆けつけ、素節のあざを見て誰であっても必ず罰すると怒る雉奴。

 

 媚娘は雉奴から素節の体の傷について聞きたいことがあるので内侍監へ来るようにとの命令が出たことを聞く。

 

 内侍監に着くと雉奴とその横に蕭淑妃がいた。

高陽公主は素節が媚娘のお腹にぶつかって来たから叱ったと説明するが、蕭淑妃は高陽公主はそれを見ていたわけではないと反論する。

そこで証言者として李忠が呼ばれた。

李忠は蕭淑妃の主張に沿う話をし媚娘が悪いかのように言いその後口止めされたと嘘の証言をした。

雉奴から釈明を求められた媚娘は釈明せず蕭淑妃に謝罪し自分に罰を与えるよう申し立てた。

雉奴は媚娘に承慶殿で一月経典を朗読して反省せよとの勅旨を出した。

軽い処分に雉奴が媚娘を守ったと怒る蕭淑妃。

 

 雉奴は侍医に素節の傷は叩かれてできたものかと聞く。

侍医はそうとも限らないと話し、幼子に行血膏を塗ると殴打のようなあざができると答えた。

 

 承慶殿で火を灯す媚娘。

そこへ雉奴が姿を現し、罰をすべて免除すると告げるが媚娘は断る。

雉奴は濡れ衣をかぶせた自分のことを怒っているのか尋ねるが

 「宮中では太平は真相より大事」

 「子を無事に生むためらなら濡れ衣を着せられようと構いません

  陛下にも多くを望みませぬ」

と答える媚娘。

 雉奴は

 「すべてを背負うな

  身重なのだから誰かに頼ればよいのだ

  頼むから朕に世話をさせてくれ」

と告げる。

しかしそれを聞いた媚娘は「お戻りを」とだけ言った。

 

~我的感想~

 呉王の先行きに暗雲が立ち込めてきそうな感じがする不吉回‥。

しかも罠に嵌められた訳ではなく呉王自ら墓穴を掘ることになりそうな嫌な展開です。

 

 呉王は長安に戻って来た李勣に会いに行くが断られた上、争いの地である長安を離れれば身は安全という伝言を聞き一層悩むことに。

 安全は保障されるが一地方で一生を終える、長安に残り雉奴を支え続ける、時機を見て皇帝の地位を奪う、呉王を見てるとこの間をグルグルと悩み続けているように感じます。

  

 これまで長孫無忌から何を言われても呉王への信頼が揺らがなかった雉奴ですが、李勣が長安に戻って来た話を切り出し知らぬふりをした呉王に疑念を抱き呉王府に監視をつけるよう命じました。

 雉奴からしたらこれまで信じフォローし続けてきた呉王に嘘をつかれたのだからショックだろうし不信感を抱き始めるのは仕方がないのですが辛いですね、長孫無忌の見立て通りになりつつあります。

太宗と共に権力を奪いにいった側の人であるだけにその執念深さはさすがです。

その上、任された兵部の人事をよりによって房遺愛と柴令武を推挙する楊青玄の案に同意してしまう呉王‥。

やっぱり上に立つより支える側の方がいいのではと思いました。

 それにしても前からずっと呉王を焚きつけるばかりで強硬派の楊青玄が悪い方に追い詰めていきそうで不安です、悩み続けている実直な呉王が好きなので‥。

 

 蕭淑妃が立場の弱い李忠に嘘の証言をさせ媚娘を陥れました(怒!

子供を利用したことが許せないです。

劉氏と李忠が幸薄い親子で気の毒でした。

雉奴の李忠に対する態度も素節と違い過ぎて雉奴の薄情な一面を見てしまいました。

 

 承慶殿での媚娘と雉奴のやりとりは何度も見返したくなる切なくてやるせないでも素敵なシーンでした。

 雉奴の真心のこもった優しい言葉が心に響いて瞳が潤む媚娘が美しくどう答えようか戸惑うところまでたまらないです。

でもうれしかったはずなのに時間を空けて媚娘から出た言葉は「お戻りを」という素っ気ない言葉‥。

 媚娘からすれば色んな感情があるとは思うけどもう少し違う言葉を選んで欲しかった。

 太宗の遺詔に従うことなく媚娘と赤ちゃんを守ろうとしてる雉奴を傷つけることにもなっていると思うので辛いシーンでした。

 媚娘は雉奴に背を向けている状態なので雉奴の言葉に瞳うるうるの姿がわからぬままなのもやりきれないです。

 でもこういうつかみどころがないタイプがゆえ男性は惹かれていくんでしょうか…。

 

 あと雉奴と長孫無忌との会話で今となってはもう懐かしい李泰(魏王)が亡くなり承乾が重病を患っている情報を知り無常を感じました。

 

内容が盛りだくさんなので今回も長々と失礼いたしました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

武則天 #57 帝王の術

 互いにけん制し合う王皇后と蕭淑妃。

媚娘は王皇后を立てて話をする。

そこへ王徳が訪れ媚娘に甘露殿へ来るようにとの勅命が届けられた。

険しい目を向ける王皇后。

王徳との再会を喜ぶ媚娘。

甘露殿へ行くと雉奴は高陽公主らと共に媚娘と言う名を賜った様子の影絵を見せるが、媚娘は辛くなりその場を去ってしまう。

雉奴は媚娘にとり李世民との愛は美しい夢でそれを守ってあげたい、現実は違っても…と高陽公主に話した。

 

 承慶殿の火を灯す媚娘。

そこに同じように火を灯す雉奴がいた。

 

 呉王府から「急げ」と言って去って行く者たちの姿があった。

そこへ呉王が帰って来て去って行った者達の正体を楊青玄に聞くが出世しようとする者達ですと吐き捨てた。

そこに房遺愛らが訪れ長孫無忌に疎まれている者同士飲もうと誘われる。

 

 媚娘は雉奴が悩んでいることは長孫無忌が呉王を追放しようとしてることだと当てる。

そして媚娘と雉奴は長孫無忌に対抗する策として寒門を利用するとの見解で一致した。

媚娘は出世の為なら何でもする李義府の名を持ち出した。

長孫無忌を説得するという雉奴に説得は無理だとして「帝王の術」を使えばいいと助言する媚娘。

それは李勣のように一旦左遷した者を後日抜擢し忠義を得たやり方のことだった。

承慶殿を出た雉奴は王徳に李義府と許敬宗を呼ぶよう指示する。

 

 房遺愛が呉王府に訪れていることを知らされる長孫無忌。

最近眠れない原因が媚娘で宮中に留まれば災いが起きるかもしれないと懸念していた。

 

 雉奴は許敬宗に任務を成功させれば都に戻れるかもしれないと言い、捨て駒が欲しいと話す。

許敬宗が帰る時李義府とすれ違う。

雉奴は李義府に半月以内にある重臣が不正を働いた証拠を集めそれを朝議で奏上せよと命令した。

そして「ある重臣」の名を書いた紙を渡す。

雉奴は明日から全ての奏上文を媚娘に送るよう指示した。

立ち上がった雉奴、頭に痛みが走る。

 

 朝議で李義府は褚遂良を弾劾する奏上を行った。

褚遂良は罪を認め左遷されることになり、奏上した李義府は出世した。

 

 魯世は長孫無忌を弾劾する奏上を行った。

長孫無忌は政を牛耳っていて補佐を騙った謀反に他ならないという内容だった。

雉奴は魯世を即刻斬れと命じ長孫無忌の忠義心を疑う者は魯世寧と同じ運命になると宣言した。

 

 媚娘は素節にいじめられている子供を見つけ助けに入る。

媚娘のお腹に頭突きをしてきた素節のお尻を叩いた。

媚娘は助けた子供の手を引き「おいで」と言った。

 

~我的感想~

 瑞安に続き癒しの王徳さんとの再会シーンにほっこりしました。

 

 楊青玄が呉王不在時の呉王府で相変わらず怪しい動きをしています。

呉王は呉王で長孫無忌から距離を置かれている者達と交わって酒盛りを始める始末。

長孫無忌に監視されていることは容易に想像がつくだろうに二人とも軽率でハラハラして見てましたが案の定、長孫無忌には筒抜けでますます呉王を警戒し疎んじていくでしょう。 

 媚娘と雉奴、承慶殿で明りを灯す二人が出会うシーンは素敵でした。

でもその後の展開は甘いものではなく政で悩みの多い雉奴に「帝王の術」を使うようアドバイス、そしてその時の媚娘は心なしか生き生きしていてましたね。

 媚娘から助言を受け王徳に指示を出す雉奴、解決策が見つかりやる気がみなぎるいい顔になってました。

 

 李義府と許敬宗が共に雉奴から呼ばれ二人がすれ違うシーンがまたいいのです。

長孫無忌軍団と対照的な小物感と風格威厳のなさ、雉奴の期待に応えれば諦めていた出世ができるかも‥やり遂げねば!な感じが人間臭くて好きです。

 

 雉奴の狙い通り朝議は進んで行きます。

弾劾され追い詰められそうな長孫無忌を雉奴が救うという流れも上手くいきます。

長孫無忌も雉奴には甘いのか、雉奴にあれこれ策を弄することはできないと見くびっているのか裏を読むという疑いの気持ちはもってなかったですね。

 今回の朝議が上手くいったことで政に関することでも媚娘は雉奴にとってこの上ない欠かせない大切な存在になりそうです。

 雉奴は、媚娘に奏上文を読ませることにし、媚娘も断ることなく目を通してますが、いやそこまでするのは大丈夫なのかと心配になります。

雉奴の性格からして全面的に媚娘に頼るであろうことは想像がつくし、そのうち長孫無忌のみならず周りの人たちもそのことを知ることになるだろうと思うのでそうなると媚娘の立場はまた大変なことに‥。

 

 蕭淑妃にふさわしい傍若無人で粗暴な御子・素節のお尻を叩いた媚娘。

ただではすまないでしょうしむしろこれを利用して媚娘を追い詰めるところまでしそうな蕭淑妃。

 長孫無忌との戦いは続き皇宮に戻って来てまた後宮を敵に回しそうな媚娘です。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

武則天 #56 新たな火種

 雉奴を助けに来た呉王は刺客達との戦いに乗じて呉王府に仕えながら長孫無忌の息のかかった間者、李恭の背中に短剣を突き刺した。

 

 雉奴を襲ったのは隋の遺民の兵士たち。

楊青玄は楊沫に一撃を加える。

 「なぜだ」と言う楊沫。

 「あなたは尻尾をつかまれている

  呉王を再起させるため犠牲になってもらうわ、安心して」

と言い剣を深く突き刺した。

雉奴は呉王に長安に留まるよう言い、抱き合う二人。

まだ息のあった楊沫は雉奴に矢を放とうとする。

それに気づいた媚娘は雉奴をかばい傷を負う。

助けに来た長孫沖に刺客に襲われたが呉王が助けてくれたことそして媚娘が先帝の子を宿していて皇宮に住まわせると言い渡した。

 

 李恭の遺体をくまなく調べさせる長孫無忌。

すると背中に匕首の跡があることに気づく。

李恭は乱闘に紛れて殺されたと推測し呉王を長安に置くべきではないと話し合う。

 

 長孫無忌は雉奴に媚娘をいつ太妃に封じるか尋ねる。

雉奴はケガが治ってからと答える。

呉王を長安に戻す話をしようとするも長孫無忌に遮られ雉奴の命を救ったことにより呉王に関する罪を問わないよう監察御吏に伝えると言った為長安へ戻す話は出来なかった。

 

 媚娘は新しい住まいと緑芙という侍女がつけられた。

 

 戻って来た雉奴の雰囲気で長安に戻る話がうまくいかなかったことを察する呉王。

雉奴は兄弟で長孫無忌に対抗しようと持ちかける。

そして取りあえず皇子の師として留まるよう言った。

 

 媚娘は瑞安と再会する。

そこへ李義府からの贈り物が届く。

 「まだまだ諦めていないのね、敬服に値するわ」

と呟いた。

 

 媚娘は瑞安と散歩しながら最近の後宮の様子を聞く。

瑞安は媚娘に気を付けるよう言った。

そして雉奴が苦労していると話しこのまま宮中にいて下さいとお願いする。

 

 蕭淑妃は王皇后が媚娘と会おうとしていたことを知る。

蕭淑妃は媚娘が住む竹林雅軒に信用できる者を潜ませ動向を探るよう侍女に命じ、雉奴が媚娘の為に素節すら顧みなかったとして警戒し始める。

そして自分が寵愛されているのは媚娘に似ているからだと呟く。

蕭淑妃は媚娘に贈り物を自ら届けに行くと言った。

 

 呉王は自分が長安から離れたらその時は雉奴を助けてあげて欲しいと媚娘に頼む。

覇気がない呉王に

「呉王は戦わぬので?

 事の成否は努力次第です。

 転機が訪れるかもしれませんよ」

と言う媚娘。

 呉王が去った後、瑞安は呉王が追い出され媚娘まで離れたら雉奴は取り残されてしまいますと言った。

考え込む媚娘。

 

 媚娘を訪れている蕭淑妃、そこへ王皇后もやって来た。

互いにけん制し合い張りつめた空気になる。

 

~我的感想~

 とうとう媚娘が皇宮に戻ってきました!

出家して一生太宗の霊を慰める生活なんて媚娘には似合いません。

それにしても地味な尼僧姿なのに華があり美しかったなぁ、ファンビンビンさん。

 

 自分の送り込んだ間者の遺体を細かく検分させて呉王が下手人と突き止めました、このしつこさ粘り強さが長孫無忌の侮れない所ですよね。

 雉奴一人なら自分の意のままに動かせられるけど呉王と結託されたらバランスが崩れてしまいますから長孫無忌も必死です。

 ここで雉奴が頑張らないといけないのですが、呉王を長安に戻す話もかわされ結局いつもの様に長孫無忌のペースに‥。

 呉王の話ついでにやはり楊青玄は、冷酷で凄腕の側近。

淑妃様が後宮で生き残れたのはこの人が側にいたことも大きいのではと思わせる楊沫への仕打ちでした。

 

 皇宮に戻って来た媚娘を見た李義府の狡猾な表情がとにかく最高でした。

 媚娘を見た途端、これから媚娘を足掛かりにして出世していこうとするギラギラした気持ちとか色んな欲望の感情が一気に湧いてきたであろう李義府をよくぞ見事に下衆く表現して下さったなと思います。

 「武則天」が私にとって初中国ドラマなのですが、中国人俳優さんの質の高さと幅の広さを知ることが出来ました。

 

 媚娘が皇宮に戻ったことで波乱の展開が予想される中、瑞安との再会シーンは心安らぐものに。

 雉奴の側に仕えるようになった瑞安は太監仲間からいじめられ気弱だった頃とは違い落ち着いた感じになり、皇帝になっとはいえ上手くいかないことの多い雉奴のことを思って何とか情に訴えて媚娘を皇宮に留めさせようと頑張ってました。

仕える主が変わっても誠心誠意努める瑞安、やっぱりいいな。

勝手が違う皇宮に戻って来た妊娠中の媚娘にとって信用できる瑞安との再会は喜ばしいものとなったと思います。

 

 皇宮に戻った媚娘、早速王皇后と蕭淑妃の醜い争いに巻き込まれております‥。

またあちらもこちらも動き出してきたので楽しみです。

 

  

 

武則天 #55 腹心の奏上

  高陽公主は朝廷を牛耳っているのは長孫無忌でありそうである以上媚娘との未来も望めないと語り掛ける。

そして呉王を長安に戻すよう勧める。

 

高陽公主は雉奴に大朝会の花火を見たことが忘れられないと媚娘が言っていた話を持ち出す。

雉奴は自分が見せてやると答えたが、高陽公主は媚奴が感業寺を離れるつもりで皇宮にはもう戻らない、花火も見られぬかもと言い残し去って行った。

 

 王皇后にも賢霊宮へいこうとしていた雉奴が甘露殿へ戻り高陽公主と会ったことが報告されていた。

 

 雉奴は李世民の遺詔を読んでいる。

そこには

「女帝武氏が国を亡ぼすとは妄言とはいえ放任はできぬ

 朕の死後媚娘が子を宿したなら

 この男女を問わず 皆排除せよ

 媚娘の命だけは奪ってはならぬ」

と書かれていた。

こんな無情な父親と見た花火が忘れられないのかと怒る雉奴。

 

 雉奴は王徳に文を呉王のもとへ届け許敬宗を呼ぶよう言いつけた。

許敬宗に羽林軍の副統領に呉王を据える案を奏上するよう命じる雉奴。

 

 雉奴から長安へ戻し重任を託すという文が届いたが浮かぬ顔になる呉王。

呉王は最近刺客を率い太極宮へ行き雉奴を殺す夢を見ると言い長安に戻るとそれが現実になりそうで恐ろしいと楊青玄に打ち明ける。

楊青玄は雉奴のために長安へ戻るよう勧め、呉王もすぐ戻ると応じた。

その二人の側にいた従者が密かに文をしたためている。

 「呉王は不忠の臣にあらず

  楊青玄はいまだ謀反を画策しているゆえ

  謀殺を‥」

 

 警戒しながら市中を歩く楊青玄。

訪れた場所には隋の遺民である兵士たちが訓練している。

楊青玄は彼らと共に文徳皇后の命日に雉奴を殺す計画を立てていた。

 

 朝議で許敬宗が羽林軍の副統領の後任に呉王を据えることを奏上するが老臣達に押され気味になっていた。

そこへ許敬宗を弾劾する奏上がなされ許敬宗が弾劾の内容を認めたことで左遷されることになった。

結局呉王を長安に戻すことは叶わぬことになる。

 

 大朝会の花火が上がっている。

雉奴の心遣いだとわかる媚娘。

雉奴の子だとわかれば帝位が脅かされ災いが及んでしまうとしそれを隠し通しお腹の子と長安を離れる決心をする。

 

一方雉奴は自分が媚娘とお腹の子を守るべく媚娘を長安に留め自分の側に置くことを決心していた。

 

 素節の振る舞いで恥をかかされた王皇后は怒りが収まらない。

その仕返しに侍女は媚娘を利用することを思いつき王皇后に話す。

そして媚娘に会えるのは文徳皇后の命日に感業寺に行く日だと気づく。

 

 長孫無忌は呉王を捕らえ文徳皇后への供物にすると長孫沖に語る。

 

 媚娘は地図を眺め逃げるルートを考えていた。

 

 文徳皇后の命日の催しが感業寺で行われておる。

長孫無忌は長孫沖から監察御吏が呉王府に遣わされたことを聞く。

 

 呉王府に監察御吏らがなだれ込み呉王を捕らえようとするも姿はなく二日前に長安へ行ったという。

 

 感業寺にいる媚娘に会う為急ぐ王皇后。

だがそこに媚娘の姿はなかった。

媚娘は感業寺を出た。

雉奴は瑞安から媚娘が感業時を出たという報告を受ける。

 

 竹林を走り逃げる媚娘。

羽林軍の姿が見える。

そこへ駆けて来る馬が見え走って逃げる媚娘だったがつまずいてしまう。

手を差し伸べてきたのは雉奴だった。

子が産まれるまででもいいから皇宮へ戻るよう説得する雉奴。

そこへどこからか矢が放たれ雉奴の肩に命中した。

雉奴は媚娘に逃げるように言うが媚娘は雉奴に刺さっている剣を取り出し

「見捨てないわ」と言って戦おうとする。

そこへ呉王たちが助けにやって来た。

 

~我的感想~

 最後の場面でかつて菊の花をくわえ美しく華々しく活躍していた頃を彷彿とさせる

「見捨てないわ」と言う凛々しい媚娘を久し振りに見ることができました。

 

 媚娘も雉奴も呉王もしんどいことを抱えていて重い展開なので本来の媚娘らしい姿を目にすることができ媚娘はこれでなくては!と心躍りました。

 

 李世民が雉奴に託していた遺詔の非情な内容が明らかに‥。

私情より国事、でも媚娘の命だけは助ける、最後の最後までブレなかった李世民

皇帝としては賢明な判断かもしれないけど、この残酷な決断を下された側の立場を考えるとこれまでの愛情は崩れ去って憎んでしまいそうになるくらいの内容だと思いました。

 それほど時間をかけずに決断したのだろうか、もし我が子を腕に抱くことがあったとしても同じ決断を下したのかなと考え込んでしまう位の悲しい内容でした。

 

 知らないとはいえそんな非情な李世民を愛し続けている媚娘にやり切れなさを感じながらも遺詔に背いてお腹の子と媚娘を守る決意をする雉奴が健気でいじらしくて切なくなります。

 媚娘は多分それでも李世民を慕い続けそうな気がするので余計そう思えてきます。

 

 長安に戻って来るよう雉奴から文が届いた呉王は複雑な心境に。

 仮に雉奴を亡き者にしたとしても呉王自身が皇帝になることの正当性は母親のことを考えると低いし雉奴よりもっと基盤が弱いので道は険しいものになるだけだけど、一地方を任される一生若しくは長安で弟を補佐する立場で終わりたくない気持ちが心の奥底に残っているのかな。

 呉王の知らぬところで楊青玄が雉奴殺害計画を立て手下まで手配済みという驚きの展開が!

 あの淑妃様のことなので自分が死んだ後も隋復活の夢を楊青玄に託したのではと勘繰っております。

 

 雉奴は朝議で許敬宗を使って呉王を長安に戻せるよう画策するも長孫無忌&老臣たちに潰されてしまいました。

 雉奴が考えそうなことは見透かされてばかりで相変わらず心許ないですね。

雉奴にとって媚娘が必要とされる理由がここにも‥。

 

 

武則天 #54 胸に秘めた想い

  酒量の多い呉王をたしなめる楊青玄。

楊青玄は呉王に何としても長孫無忌から身を守らねばと忠告し生き延びる為備えるべきだと言った。

話を打ち切る呉王。

その場から立ち去ろうとした時、木の上にいた刺客から呉王に向けて矢が放たれる。

そこへ昨夜城内で11人が殺害されその11人は長安から来た者だとする報告を聞く呉王と楊青玄。

 

 伝書鳩が向かった先は長孫無忌。

「呉王の配下が襲撃」と血文字で書かれていた。

牛鐵酒坊で殺された者達は長孫無忌の間者だった。

そして雉奴が感業寺近くの場所で剣の稽古していることを知り、いぶかし気な様子になる長孫無忌。

 

 牛鐵酒坊を訪れる呉王。

そこでは呉王の行動を逐一記した書も見つかっていた。

背後にいるのは長孫無忌か雉奴だという楊青玄。

呉王は雉奴ではないと否定し長孫無忌なら間者殺害は自分だということにされてしまい事は深刻だと懸念する。

 

 雉奴の稽古の場に現れた高陽公主。

媚娘を皇宮に戻せばよいという高揚公主に雉奴はかつて李牧から言われた言葉

 「選ばれる日まで待ち続けることが何より大切だ」

を持ち出した。

高陽公主は人事などあらゆることを長孫無忌が牛耳っていて雉奴に自由などないと嘆く。

雉奴は感業寺に向かって媚娘が考えを変えたら長孫無忌や天下に背いても必ず皇宮に迎えると約束しようと誓いその場を去った。

 修行に励む媚娘だがあれこれ噂されていた。

媚娘は尼僧に腕輪を渡しその見返りに地図と鍵を受け取った。

 

王徳から火急の知らせだとして呉王からの密書が届く。

読んですぐ燃やすよう指示する。

そこへ長孫無忌がやって来た。

 

 媚娘を訪ねた高陽公主は感業寺で過ごす意思の固い媚娘に雉奴の悩みは寵愛争いと政では長孫無忌をはじめとする老臣が牛耳っていることだとして助けが必要だと迫る。

そして呉王が長孫無忌によって安州に左遷されたと明かす。

媚娘は吐き気を催す。

高陽公主は媚娘が妊娠していることに気づく。

媚娘は心の中で「雉奴の子だと知られてはいけない」と呟く。

皇宮へ戻るよう勧める高陽公主だが媚娘は皇宮で子を育てたくないと話す。

そして高陽公主にどこかへ逃げようとしていることを見抜かれる。

媚娘は逃げる話は誰にも言わないよう頼んだ。

そして近頃大朝会の花火を思い出すと語る。

 

 長孫無忌は安州へ遣わしていた間者がすべて殺されその下手人が呉王ではないかと伝える。

呉王は危険だとして警戒を怠らぬよう警告し禁足処分にするよう進言する。

雉奴は長孫無忌に呉王もまた襲われたことを明かし呉王の忠義心を信じると言った。

まだ何か言おうとする雉奴の言葉を遮り自分に任せるよう言う。

 

 媚娘と会った高陽公主は房府に戻らず甘露殿へ向かうよう侍女に伝える。

 

 素節を連れ賢霊宮に向かう雉奴の元に瑞安から高陽公主が媚娘のことでやって来たことを知らされる。

 賢霊宮に戻って来たのが素節一人だった

雉奴が高陽公主に呼ばれて戻ったことそしてそれが媚娘の話だったと知る蕭淑妃。

 

 長孫無忌はこれを機に呉王を長安から遠ざけそれは遠ければ遠いほどよいと長孫沖に話す。

 雉奴は媚娘が身ごもったことを知りそれが世民の子だと思い込みショックを受けるが

皇宮に戻るよう命じようとする。

しかし高陽公主は今呼び戻せば太妃として扱うしかないとし「それで満足なの?」と言い止めようとする。

 

~我的感想~

 字幕「雉奴の子だと知られてはいけない」

うん?と一時感情が止まり意味が分からず、キョトンとしている間にも話は進んでいきますが慌てて早戻しして字幕を再度確認し、ええええ!どういうこと?いつよ?見逃してた?と動揺しまくってしまいました(笑

 見直してみると陛下が亡くなり悲しんでいる媚娘と雉奴が抱き合うシーンがありましたがあの時ですよね‥

抱きしめる手に力が入る描写がありましたが、あれが察して下さいのサインだったんですかね、奥ゆかしすぎる演出でわかりにくい‥

 でも雉奴が媚娘を諦めきれず感業寺に押しかけたり、高陽公主から媚娘のことで話があると言われ可愛がっている素節と過ごす予定を変えてしまったのも二人のあの一夜があったからなんだと理解できました。

媚娘にとっては多分過ちの一夜だっただろうけど雉奴にとっては媚娘への愛が段々リアルで生々しいものになっていく出来事になったんだろうなぁ。

 高陽公主から媚娘が身ごもっていることを知らされた雉奴は、子の父親が太宗だと思い込みショックを受けつつ皇宮へ呼び戻すつもりですが(いじらしいなぁ)、一方の媚娘は皇宮に戻る気はなく感業寺から逃亡する計画を立てていて、こちらは相変わらず無謀ですね、身重なのに心配になります。

 

 長孫無忌は、最大の懸念材料だった媚娘が感業寺送りになったことで安心し、次は呉王との関係に集中し始めますが自分の息のかかった間者が殺害されたことで緊張した状況になりだしました。

大事な局面なのに雉奴は、結局呉王の件を長孫無忌に任せてしまいます。

 呉王は雉奴を信頼し頼りにしてるし雉奴にとっても呉王は信用できる数少ない人であり、今後長孫無忌+老臣集団と対立した時、彼らを牽制するのにも必要な存在になるのに引き下がりました。

  媚娘への愛の執着と強い意志を呉王にもひいては政にもと思ってしまいました。

 

 そして自身の復讐の為、媚娘には身重の体を親身に気遣うふりをし、雉奴には媚娘への想いを利用するべく揺さぶりをかける高陽公主のしたたかさが怖いです。

 

 

武則天 #53 太宗崩御

 李世民は雉奴を枕もとに呼び寄せ後事を託す。

自分の死後李勣を長安に呼び戻し宰相に昇進させるよう言いそうすることで李勣は感激し雉奴の為に誠心誠意尽くすとしまた兄弟を厚遇するようにと伝えた。

そして役に立つ時が来るかもしれないと言って遺詔を手渡す。

遺詔を呼んだ雉奴は驚き本当にいいか確認し李世民は「さよう」と答え、遺詔のことは秘密にしておくように言い「とりわけ長孫無忌には」と付け加えた。

 

 最後に長孫無忌が呼ばれる。

李世民は媚娘を殺さないと約束して欲しいと頼む。

媚娘が感業寺へ行くよう勅旨を出し、政に干渉させないと言い「それでよいか」と確認、頷く長孫無忌。

 媚娘は李世民元へ急いでいる。

王徳が見守る中、李世民は宙に手を伸ばすがやがて力が抜けていった。

甘露殿前にたどり着いた媚娘。

甘露殿の中から王徳が出てきて外にいる大臣達に李世民崩御を伝える。

走っていく媚娘は兵に阻まれるが王徳の配慮で中へ。

そこには息を引き取った李世民が横たわっていた。

 

 承慶殿で蘭陵王の仮面をかぶり泣き悲しみに暮れる媚娘。

そこへ雉奴がやって来た。

抱き合う二人。

 

 徐慧はなぜ大勢の者が泣いているのか食事係に聞き、李世民崩御したことを知る。

 「これでようやくここから離れられる」

穏やかな顔で呟いた。

 

 李世民の位牌で霊を慰める徐慧。

そこへ媚娘がやって来た。

冷めた目で「まだ何か話すことでもあるの?」と聞く。

徐慧は自分の人生で唯一の友は媚娘だと言い「私を許してくれる?」媚娘の手を握り聞く。

媚娘は手を離し

「腕飾りは?」

と聞く。

「割れたの」

と答える徐慧。

二人の友情も一度壊れたら決して戻らないとし

 「あなたを許さない、永遠にね」

 「今生では二度と会うつもりはない」

と言って去って行く。

徐慧は泣きながら

 「媚娘 許してもらおうなんて思ってないわ

 ただ一目会って話が出来ればそれでよかったの」

と呟いた。

 

憔悴し横になっている媚娘に瑞安から徐慧が自害したとの知らせがもたらされた。

瑞安の手には徐慧が残した媚娘への文があった。

震える手で受け取る媚娘。

 「媚娘

  恩と恨みが交錯した日々を経て原点に戻った

  陛下とあなたがいない皇宮なんて私にとって何の意味もない

  陛下のあとを追うわ

  最後に頼みがあるの 

  新帝にお願いして私を陛下のおそばに埋葬して欲しいと

  昔 親友だったよしみで」

 

徐慧は「陛下あの世でお供します」

最後にそう呟いて吊るしてある白い布に首をかけた。

 

 媚娘宛の遺書と共に修理の跡がある腕輪が渡される。

腕輪に頬ずりして泣く媚娘。

 

 感業寺へ入って行く後宮の妃嬪たち。

そこには媚娘の姿もあった。

 

 瑞安は新しく皇帝となった雉奴に仕えることになる。

媚娘の代わりに自分が面倒を見ると伝える雉奴。

 

 弁機のお墓の前には高陽公主。

高陽公主は李世民が最期に媚娘と会えなかったのは罰を受けたからだと話しかける。

そして長孫無忌にも同じ罪があるとし媚娘を陥れる為、私から弁機を奪ったと怒りをぶつける。

高陽公主は長孫無忌が恐れる媚娘を何としても再び太極宮へ送り込んで敵を討つと誓う。

 

 媚娘は剃髪し感業寺での生活が始まろうとしている。

感業寺に無理矢理入って来て媚娘の名前を呼ぶ雉奴。

媚娘は

 「私は明空です」

 「お帰り下さい」

と言い去って行った。

 

 逃げる男に追いかける男達から矢が放たれ命中。

しかし傷負いながらも急いで「牛鐵酒坊」へ逃げ込む男。

中に入るとそこには殺された者達の遺体があちこちに転がっている。

急いで戸を閉める。

追ってきた男たちは「呉王からのあいさつだ」と告げる。

「呉王?」と男は呟いて急いで伝書鳩を放つ。

戸を破られ侵入してきた男たちに矢を射られ男は死んだ。

 

 呉王は釣りに興じながら酒をあおっている。

それをみてたしなめる楊青玄。

そしてその様子を見ている者達がいた。

 

~我的感想~

 とうとう偉大な皇帝・李世民が旅立ってしまいました。

そして陛下の死を知った徐慧は後を追います。

 これまで重厚な演技と存在感でドラマを支え続けてくれていた陛下がいなくなるのは寂しすぎます。

 

 最後まで媚娘排除にこだわり続けた長孫無忌に媚娘を殺さないと約束させました。

とはいえ皆の前で誓わせた訳ではなく媚娘を死に追いやる理由はいくらでも作ることができるので安心できないですよね。

 

 媚娘は陛下の死に目に会うことはかなわず、最期まですれ違いでこれまでの二人を象徴するかのようなお別れでこれはとても辛いシーンでした。

 

 徐慧は媚娘に遺書を残していましたがこちらも最後の最後まで徐慧らしさを感じさせるものでした。

 陛下から自害もさせないくらい恨まれたのに陛下の側に埋葬して欲しいと望みそしてそれを散々苦しめ貶めてきた媚娘に頼んだ上、結びで「昔親友だったよしみで」と書ける徐慧の厚顔無恥っぷりが怖くなりました。

 徐慧にしてみたら少女の頃から憧れていた陛下への愛を徐慧なりに貫いたということなのかな。

  

  私にとって陛下と徐慧お二人がいなくなるのは寂しすぎて大きなロスとなりそうです。

 メイキング映像で見たお二人も素敵な感じでよかったなぁ~。

 

 媚娘は出家することになりそこへ雉奴が押しかけて来ましたが媚娘のこととなるとめちゃめちゃ行動力がある雉奴(笑

 

 長く君臨した皇帝が亡くなると苛烈な権力争い起こりますが、お酒をあおっている呉王はやっぱり心の底では皇帝の座を諦めきれてないのでしょうか。

 呉王が心配になる締めで53話が終了しました。