武則天 #54 胸に秘めた想い

  酒量の多い呉王をたしなめる楊青玄。

楊青玄は呉王に何としても長孫無忌から身を守らねばと忠告し生き延びる為備えるべきだと言った。

話を打ち切る呉王。

その場から立ち去ろうとした時、木の上にいた刺客から呉王に向けて矢が放たれる。

そこへ昨夜城内で11人が殺害されその11人は長安から来た者だとする報告を聞く呉王と楊青玄。

 

 伝書鳩が向かった先は長孫無忌。

「呉王の配下が襲撃」と血文字で書かれていた。

牛鐵酒坊で殺された者達は長孫無忌の間者だった。

そして雉奴が感業寺近くの場所で剣の稽古していることを知り、いぶかし気な様子になる長孫無忌。

 

 牛鐵酒坊を訪れる呉王。

そこでは呉王の行動を逐一記した書も見つかっていた。

背後にいるのは長孫無忌か雉奴だという楊青玄。

呉王は雉奴ではないと否定し長孫無忌なら間者殺害は自分だということにされてしまい事は深刻だと懸念する。

 

 雉奴の稽古の場に現れた高陽公主。

媚娘を皇宮に戻せばよいという高揚公主に雉奴はかつて李牧から言われた言葉

 「選ばれる日まで待ち続けることが何より大切だ」

を持ち出した。

高陽公主は人事などあらゆることを長孫無忌が牛耳っていて雉奴に自由などないと嘆く。

雉奴は感業寺に向かって媚娘が考えを変えたら長孫無忌や天下に背いても必ず皇宮に迎えると約束しようと誓いその場を去った。

 修行に励む媚娘だがあれこれ噂されていた。

媚娘は尼僧に腕輪を渡しその見返りに地図と鍵を受け取った。

 

王徳から火急の知らせだとして呉王からの密書が届く。

読んですぐ燃やすよう指示する。

そこへ長孫無忌がやって来た。

 

 媚娘を訪ねた高陽公主は感業寺で過ごす意思の固い媚娘に雉奴の悩みは寵愛争いと政では長孫無忌をはじめとする老臣が牛耳っていることだとして助けが必要だと迫る。

そして呉王が長孫無忌によって安州に左遷されたと明かす。

媚娘は吐き気を催す。

高陽公主は媚娘が妊娠していることに気づく。

媚娘は心の中で「雉奴の子だと知られてはいけない」と呟く。

皇宮へ戻るよう勧める高陽公主だが媚娘は皇宮で子を育てたくないと話す。

そして高陽公主にどこかへ逃げようとしていることを見抜かれる。

媚娘は逃げる話は誰にも言わないよう頼んだ。

そして近頃大朝会の花火を思い出すと語る。

 

 長孫無忌は安州へ遣わしていた間者がすべて殺されその下手人が呉王ではないかと伝える。

呉王は危険だとして警戒を怠らぬよう警告し禁足処分にするよう進言する。

雉奴は長孫無忌に呉王もまた襲われたことを明かし呉王の忠義心を信じると言った。

まだ何か言おうとする雉奴の言葉を遮り自分に任せるよう言う。

 

 媚娘と会った高陽公主は房府に戻らず甘露殿へ向かうよう侍女に伝える。

 

 素節を連れ賢霊宮に向かう雉奴の元に瑞安から高陽公主が媚娘のことでやって来たことを知らされる。

 賢霊宮に戻って来たのが素節一人だった

雉奴が高陽公主に呼ばれて戻ったことそしてそれが媚娘の話だったと知る蕭淑妃。

 

 長孫無忌はこれを機に呉王を長安から遠ざけそれは遠ければ遠いほどよいと長孫沖に話す。

 雉奴は媚娘が身ごもったことを知りそれが世民の子だと思い込みショックを受けるが

皇宮に戻るよう命じようとする。

しかし高陽公主は今呼び戻せば太妃として扱うしかないとし「それで満足なの?」と言い止めようとする。

 

~我的感想~

 字幕「雉奴の子だと知られてはいけない」

うん?と一時感情が止まり意味が分からず、キョトンとしている間にも話は進んでいきますが慌てて早戻しして字幕を再度確認し、ええええ!どういうこと?いつよ?見逃してた?と動揺しまくってしまいました(笑

 見直してみると陛下が亡くなり悲しんでいる媚娘と雉奴が抱き合うシーンがありましたがあの時ですよね‥

抱きしめる手に力が入る描写がありましたが、あれが察して下さいのサインだったんですかね、奥ゆかしすぎる演出でわかりにくい‥

 でも雉奴が媚娘を諦めきれず感業寺に押しかけたり、高陽公主から媚娘のことで話があると言われ可愛がっている素節と過ごす予定を変えてしまったのも二人のあの一夜があったからなんだと理解できました。

媚娘にとっては多分過ちの一夜だっただろうけど雉奴にとっては媚娘への愛が段々リアルで生々しいものになっていく出来事になったんだろうなぁ。

 高陽公主から媚娘が身ごもっていることを知らされた雉奴は、子の父親が太宗だと思い込みショックを受けつつ皇宮へ呼び戻すつもりですが(いじらしいなぁ)、一方の媚娘は皇宮に戻る気はなく感業寺から逃亡する計画を立てていて、こちらは相変わらず無謀ですね、身重なのに心配になります。

 

 長孫無忌は、最大の懸念材料だった媚娘が感業寺送りになったことで安心し、次は呉王との関係に集中し始めますが自分の息のかかった間者が殺害されたことで緊張した状況になりだしました。

大事な局面なのに雉奴は、結局呉王の件を長孫無忌に任せてしまいます。

 呉王は雉奴を信頼し頼りにしてるし雉奴にとっても呉王は信用できる数少ない人であり、今後長孫無忌+老臣集団と対立した時、彼らを牽制するのにも必要な存在になるのに引き下がりました。

  媚娘への愛の執着と強い意志を呉王にもひいては政にもと思ってしまいました。

 

 そして自身の復讐の為、媚娘には身重の体を親身に気遣うふりをし、雉奴には媚娘への想いを利用するべく揺さぶりをかける高陽公主のしたたかさが怖いです。