武則天 #51 募る想い

 媚娘と雉奴の密会を陰から見ていた者がいた。

 

 高陽公主が席を離れた後、呉王は杯を投げ捨て弁機に剣を突きつけ

 「高陽に付きまとう貴様は死罪に値する」

と言い放つが弁機は動揺することなく

 「情念ゆえの死もまた一興」

と言い合掌する。

そこへ媚娘がやって来て弓を構え止めに入る

今後高陽公主と一切交流しないよう言われ立ち去る弁機。

 

 長孫無忌と房玄齢は囲碁を打っている。

あくまで媚娘を排除することにこだわる長孫無忌。

房玄齢は媚娘は房府で生涯を終えるとし「この件はこれで終わり」と告げた。

 

 長孫沖は媚娘と雉奴が密会していたことを長孫無忌に報告する。

そして明日の朝議で蕭氏にあることを奏上させるとし、その狙いは、弾劾を通して李世民の媚娘に対する真意を探ることだと説明した。

 

 媚娘は李義府に会う。

李義府は長孫無忌の弱みを握ったのでそれを奏上するつもりだと話す。

媚娘は長孫無忌には大勢の配下がいてその者達全員を養うには今の俸禄では不十分なので何か不正しているはずと指摘した。

 

 李義府始め寒門集団が集まっている。

多くの者が長孫無忌を追い詰められるか不安に思っている。

李義府は媚娘が皇宮に戻ってこそ我々の道は開けると話す。

 

 朝議の場で李世民蕭氏に奏上文を投げつける。

蕭氏は房玄齢を弾劾するが李世民怒り、朝廷から去り故郷へ帰るよう申し渡した。

そして房玄齢を陥れる者は誰であっても容赦しないと言った。

 次に李義府が奏上しようとした時、それより先に長孫無忌が立ち上がる。

長孫無忌が奏上しようとしていた内容は李義府が奏上しようとしていた内容だった。

長孫無忌は自身の不正を配下の者に押し付けたことで李世民から長孫無忌は無関係と断定されその件を調査するよう命じられた。

 

 絵を描き上げた雉奴はその絵を丸めて投げ捨てた。

その絵を拾い上げて見る呉王。

呉王は雉奴が皇太子になったことで兄弟間の争いがなくなったことに感謝する。

恋に悩む雉奴に呉王は見守り続けるか奪うかだと言い、見守れば悩みは尽きないし奪えば後悔に苦しむ、どちらの道を選ぶかは己の幸せを望むか相手の幸せを望むかで変わるとアドバイスする。

 

 長孫無忌は李義府は小物だが背後にいる人物はかなりの切れ者でそれが誰か知りたいと言い間者に監視するよう命令する。

 

 高陽公主は媚娘への恩返しに李世民と合わせようと持ち掛ける。

浮かぬ顔の雉奴。

 

 雉奴は李世民に媚娘を呼び戻す気はないか尋ねるが後宮について口を出すなと言われそれでも粘るが「下がれ」と言われた。

下がろうとして振り向いた雉奴は倒れそうになっている李世民に気づく。

 

 房玄齢は媚娘に都を離れ信頼できる男に嫁ぎ新しい人生を送るよう告げる。

そして李義府のような小物を当てにしないよう警告する。

媚娘は李世民にもう一度会わせて欲しいとお願いするが老臣の気持ちも理解するよう言い、誰もが満足する結末を導きを出したいとして

 「陛下のために諦めて下さい」

と告げる。

媚娘は房玄齢にお礼を言い「長安を離れます」と言った。

そこへ李世民が倒れたという知らせが舞い込む。

 

~我的感想~

 やはり媚娘の方は陛下のことを諦めていなかった。

 李義府を使って動き始めましたが、長孫無忌も行動を開始します。

長孫無忌の執念は鬱陶しいですが、何度追い落とそうとしても陛下の元に戻って来る媚娘に不気味さを感じ唐に災いをもたらす存在と信じて疑わない気持ちもわかります。

 

 朝議のシーンの緊張感、楽しませてもらいました。

長孫無忌弾劾を奏上しようとした李義府でしたが先を越されました。

長孫無忌は自らの不正に関わりのあるお寺を生贄に差し出し乗り切りました、一枚上手です。

 しかし多数の配下を養う為には不正を行っているはずと考えそこに目を付けた媚娘と鴻鱸寺の高利貸しの証拠とそれに長孫無忌が関わっていることを探り当てた李義府、侮れないです。

どちらもこれから先の生き残りを賭けた勝負であるがゆえ、必死なので見応えあります。

 

 雉奴の媚娘への想いが見守るだけで満足系だったのが想いが募りそこを超えてきたように感じます。

恋に悩む雉奴に呉王が

 「解決するには見守るか奪うか」

「見守れば悩みは尽きないし奪えば後悔に苦しむ、どちらの道を選ぶかは己の幸せを望むか相手の幸せを望むかで変わる」

という的確で素敵なアドバイスをします。

これまで呉王は奥方様も出てこないし、色恋に揺れる姿など明確に描かれてこなかっただけに意外な姿を見た思いでしたが、呉王様が好きなので私得なシーンとなりました。

 

 陛下が倒れてしまいました。

年齢と戦場での苦労も重なったかな。

これまで陛下が明君であるがゆえ国も安定していましたが、後継者の雉奴はまだまだ未熟なので大丈夫なのでしょうか。

 房玄齢に李義府と組んでいることを見抜かれており、たしなめられた上、長安から離れるよう言われます。

房氏の言っている事は、彼らからしたらごもっともな話で最終的に受け入れた媚娘でしたがそこへ陛下倒れるの報が‥。

媚娘はどんな手を使ってでも陛下に会いに行くと思いますが、どの手を使うのか楽しみです。