忠の元を訪れる媚娘。
媚娘は、立派な東宮があるのにそこに住まない忠に「よほど私が怖いようね」と問う。
忠は
「生母も養母もお前に殺された。
私もいつ殺されるかわからぬ」
と睨みながら答えた。
媚娘は、自分が毒杯を替えなければ父を殺逆した極悪人として永遠に疎まれていたと責め立てた。
その言葉を聞いて笑い出す忠。
そしてすべては媚娘のせいで、即位を急いだのもお前の罪を一つずつ償わせるためであり、昔から殺したかったが自分は卑劣になれず完敗したと媚娘を罵倒する。
媚娘は、自分を狙うのではなく凡庸で性根が悪い忠を皇太子という立場から廃しなかった雉奴を殺そうとしたことは許せないと憤り責め立てる。
そして今回の件について李義府と許敬宗が上官儀たちの企みであると奏上しているが、黒幕が誰かは雉奴に知らせないと告げる。
その上で大罪を犯した忠は、皇太子として不適格であるとして雉奴の元を離れ皇太子の位を辞すよう促し、そうすれば命は守ると言い渡す。
命を助けるのは劉氏との誓いを破った罪滅ぼしであるとし、今後謀略をを画策し続けるなら媚娘自ら毒杯を与えるから覚悟しておくようにと釘を刺し去って行った。
李義府と許敬宗は雉奴に楼の宴の一件を雉奴に奏上しているが、それは「皇帝暗殺の企み」ではなく「皇后暗殺の企み」の一件として奏上していた。
ところがその場で李義府は、黒幕が忠であることを言ってしまう。
雉奴は、驚いて立ち上がり信じようとしないが、忠から皇太子を辞する旨の奏上が届きようやく信じた。
楼の宴の一件の報告を受け取った長孫無忌は
「時機が来るまで力を蓄えてきた。今こそ時だ」
「関隴集団と寒門の争いや武后と私の対立 すべてを終わらせる」
と長孫沖に言った。
媚娘の命令に背いて忠が黒幕であることを雉奴に明かした李義府を責める媚娘。
李義府は、真相を明かしたのは媚娘の為だと言い訳をしようとするが媚娘が遮り、まず許敬宗に何人も側室を囲い、自分の子供と女性を争った挙句、子に濡れ衣を着せて嶺南に追放させたことを持ち出して責め、次いで李義府に見初めた女囚を釈放させ、口封じのため獄丞に自害を迫ったことを持ち出し責めた。
李義府は、今後二度と媚娘の命令に逆らわないと手をついて謝罪、許敬宗も同じく従った。
媚娘が去った後、李義府は皇太子の一件はすべて媚娘の計算だったのではと疑い、代王を擁立する気なのではないかと推測し始めた。
許敬宗は、媚娘の考えは我々には読めない、出しゃばると我々の首が危ないと自重するよう李義府に言うが、李義府はこれから媚娘の権勢は強まり自分達もより玉座の近くへ上りつめることができると語った。
賢と弘、二人の剣の腕比べを見守る媚娘。
媚娘は二人を呼び、卑怯な手を使って勝った賢に対し罰を与える。
不満げな賢。
そこへ瑞安から媚娘の命令通り許敬宗が朝議で弘の立太子を奏上し、異論は出なかったが雉奴は日を改めて協議するという言葉が出たことが伝えられる。
それを聞いた賢は何やら考えている様子。
雉奴は慣例通りなら弘を選ぶべきだが、文才、武略、勇敢さにおいて勝る賢を選びたい、媚娘が賛同してくれるなら明日聖旨を出すと言った。
そのやり取りを密かに聞いている太監がいた。
媚娘は、仁者が立てば兄弟の命が保証され天下の民も恩恵を受けるとし、弘を皇太子に立てるよう願い出る。
太監から情報を得た賢の側近は、禁足中の賢に次の皇太子は賢で明日、聖旨が届くと知らせに来た。
それを聞いた賢は大喜びする。
皇太子に賢を推そうとしていた雉奴だったが、結局媚娘が推す弘に決めた。
聖旨に印を押した雉奴は、満足気な笑みを浮かべていた。
聖旨が届くのを待ちわびている賢に聖旨が届いた先は弘の元であり、雉奴を翻意させたのは媚娘だという報告がもたらされた。
倒れ込みショックを受ける賢は、翻意させた媚娘せいだと怒り「なぜだ‥」と呟く。
身分に関係なく能力主義で取り立てられる「姓氏録」が編纂された。
それと同時に民でも要職につける科挙を励行していこうと話す媚娘と雉奴。
媚娘は、雉奴の心が若くて美しい女子に移るかもしれない、生涯ずっとそばにいて欲しいと雉奴に寄り添う。
そして皇后の地位に甘んじることなく雉奴のために策を巡らし共に戦いますと言い、生涯捨て去ることのできない存在になりたいのですと打ち明ける。
媚娘の言葉に雉奴は「朕は永遠に不変だ」と返す。
長孫沖が陰で画策していることを見抜いている長孫無忌は、自身の行動を問われ、しらばっくれる長孫沖の頬を思いきり叩いた。
結局長孫沖は楼の宴の一件に関わっていたことを認めるが、それを聞いて長孫無忌は再び思いきり頬を叩き、「愚かなことを」と言い怒る。
長孫沖は、暗殺を画策したのは自分自身で73人と共謀したと白状する。
長孫無忌は、自分たちの敵である媚娘を寵愛し、政にまで参加させるとは予想もしていなかったことで、即刻断罪せねば唐に災いが及ぶと話しつつ長孫沖に対し軽はずみに動かぬよう言い聞かせた。
弘を皇太子とする冊封の儀が執り行われる。
疎ましそうに弘を見る賢。
媚娘は賢の様子が気がかりで見ると満面の笑みで返す。
怪訝そうな顔をする媚娘。
雉奴は、媚娘に封禅の儀式を媚娘が執り行うことを提案すると話す。
続けてこれまで門閥と寒門を少しずつ入れ替えて来た一環として李義府と許敬宗を宰相に抜擢するつもりだと明かす。
朝臣たちが反発するのは必至なので消極的な媚娘。
しかし雉奴に続いて媚娘が祭礼を行い、最後に諸王が儀式を締めることで媚娘がいかに大切な存在か天下に知らしめたいとその意図を話す。
しかし媚娘は、それでも今回は最初から最後まで雉奴だけで儀式を行うべきだと主張する。
~我的感想~
陰湿忠が早くも退場。
太宗は子供たちに命を狙われ続けてましたが、雉奴にとっては初めて子供から命を狙われたのでショックだっただろうなと思いました。
李義府が皇太子の一件は全て媚娘の計画だったかもと邪推するシーンがあるのですが媚娘側の駒である李義府から見ても媚娘は「底の知れないお人」、そう思わせる何かがあるんだなと思いました。
それにしても李義府と許敬宗の弱みを挙げてみせ責め立てる媚娘は迫力がありました。
媚娘の命令に忠実な許敬宗と自身の野心の強さから出過ぎた真似をしてしまう李義府の対比も面白いです。
李義府は先が思いやられますね。
皇太子に推したいのが媚娘は弘、雉奴は賢で分かれてしまいました。
難しいですよね、仁だけでは駄目ですし武略だけでも駄目。
結局媚娘の案を受け入れて弘にしましたが、皇太子になるとならないでは本人はもちろん側近たちの将来も関わって来るので、この「変更」は大きな禍根を残すことになるんだろうなと思います。
しかも翻意させたのが媚娘というのが賢に伝わったので、また媚娘が恨みを買いそうですよね。
賢は、感情優先タイプな感じがするので承乾が重なります。
長孫無忌役の方が長孫沖役の頬をぶつシーン、あれ結構本気な気が…
長孫ファミリーも偉大な父はやらかした息子で苦労しそうです。
この回で印象に残ったのは、李義府たちに女帝モードで叱責していた媚娘とは思えない、女心を雉奴に明かすシーン。
いつか若くて美しい女子に心移りしてしまうのではないかという時代問わず抱える女心を媚娘も持っていてそれを口にするとは‥。
しかも「生涯ずっとそばにいて欲しい」(雉奴よかったね!)という言葉が出ましたよ。
そして「生涯捨て去ることのできない存在になりたいのです」
これまで雉奴の気持ちを利用してきてたけどようやく媚娘も雉奴を愛するようになったと信じていいのかな。
太宗の遺詔を知り、深く傷つき醒めた目で「情愛は一時のもの、権力は一生のもの」と言い放った媚娘が雉奴を本当に(ここ大事!)愛することができたのだとしたら素敵なことだし、一連の流れを見てきた者としてはこちらも幸せな気持ちになれます。
愛にも権力にも貪欲で努力家の媚娘、そりゃモテますよね(妬まれ対象となるのも納得)。