戸を叩く音を警戒し、小刀を取り出す忠。
だが訪ねて来たのは上官儀で、しばらく黒猫を放すのはやめるよう忠告する。
長孫無忌は先帝の霊を偲んでいる。
そこへ長孫沖がやって来て、媚娘が雉奴名義で政務をしていると言いに来た。
長孫無忌はすでに知っているとして「時機が来るまで力を蓄えよ」
「機が熟せば自分が必ずすべてを解決して見せる」
と言い長孫沖をその場から去らせた。
長孫無忌は、先帝に今の唐のようになったのは無能な自分の責任であることそして陛下との約束は忘れていないと語りかけていた。
忠は媚娘が政務を代行し、雉奴の治療にまで口出ししていると非難する。
上官儀は、忠が即位する前に媚娘を排除しておくべきと主張した。
忠は、媚娘が止めている明崇儼の秘術の件を雉奴に知らせるよう指示する。
皇宮を訪れた明崇儼は、先に待ち構えていた雉奴から尋ねたいことがあると言われる。
媚娘は黒猫の件が忠の仕業だと報告を受ける。
そこへ雉奴と明崇儼が会っていると瑞安からの報告を受け、二人の元へ急ぐ。
明崇儼は媚娘が雉奴の代わりに薬を試していることを打ち明ける。
雉奴は危険な秘術の治療法をやってみることにしたが、媚娘がやって来て中止させる。
雉奴は、病人でいること自分の代わりに政務をすることで媚娘が周りから批判を受けていることにも疲れている、もう終わりにしたいと言う。
「朕の父も母も偉大だった。兄弟も優秀なものばかり。
偉大な皇后までいらぬ」
「これまで守られてきたが、朕こそそなたを守りたい」
「無能な皇帝になりたくない」
と慟哭する。
媚娘は
「明君かどうか気にしない。陛下は夫です。
陛下を失いたくないから治療を阻んだそれだけです」
と慰める。
「朕もそなたを失いたくない」
雉奴は媚娘の腕を取りそう言った。
忠は媚娘の悪評を広めるように言い、それにより廃后を奏上するよう上官儀に指示する。
媚娘は、瑞安に西域九国の使節団を招いて催す宴の準備が順調であること、明崇儼の方も問題ないと言っていることを確認する。
媚娘がやろうとしている方法で、宮中の黒猫が消えるのか不安がる瑞安に狙いは黒猫でも黒猫を放した者でもなく、「猫に生まれ変わる」と言う蕭淑妃の呪いの言葉と私が猫を恐れるという噂だと明かし、闋楼の宴が終われば誰も猫の話をしなくなると話す。
瑞安は、媚娘が雉奴の病状を隠して政務に干渉し、逆心を抱いているという別の噂も広まっており、噂の出所を李義府が調べていると報告する。
しかし媚娘は調べる必要はないと返し
「忠は何をしているの?」
と尋ねる。
忠が密かに王氏を弔っていることを知った媚娘は、邪悪な企みは決して許さないと言い、東宮の監視を強化し忠の一挙一動を知らせるよう指示した。
忠に仕える上官儀達は廃后を奏上するが、雉奴は激怒し奏上を却下した上、上官儀を郷里に帰らせ他の者は厳罰に処すと言い放った。
雉奴は、廃后の奏上をした者達に対し表向きは格上げとしながら実権は奪い、二度と政務には干渉させない処分にすると媚娘に明かし、媚娘は「さすが陛下は英明です」と笑顔で返した。
そして雉奴はかつて言った
「何があろうと どんな時でもそなたを守る」
という言葉を引き合いに出し抱き寄せた。
廃后計画が失敗したことで荒れている忠は、上官儀達にもう待てないと言い、自分が皇帝になることで 媚i娘の手から唐の危機を救えると言い出す。
驚く上官儀達。
忠は、実行の場に楼の宴を利用しようと考える。
楼の宴の為、身支度を整えている媚娘の元に忠が楼の宴で雉奴暗殺を企てているとの文が届く。
開かれた宴の席、視線が合った媚娘から目をそらす忠。
瑞安は、宴用に用意されたお酒と料理の毒味が済んだことしつけされた黒猫を明崇儼が用意できたことを媚娘に耳打ちする。
満足気に笑みを浮かべる媚娘。
宴の席で猫の鳴き声が聞こえ、宴の席が気まずい雰囲気になる。
そして明崇儼にしつけられた黒猫が入ってくる。
媚娘が黒猫に向かって手を叩き「おいで」と言うと、黒猫は近づいて来てひざに乗って来た。
続いて媚娘は、その猫を恐がることなく懐に抱く。
媚娘は笑顔で「私の飼い猫です。失礼いたしました」
と言いその場を収め、黒猫にまつわる噂をかき消すことに成功した。
雉奴の杯に隙を見て毒薬を入れる女官を確認した媚娘は、忠に対し雉奴の代わりに酒を飲むよう提案する。
意を決して酒を飲んだ忠は目を閉じる。
ヨロヨロ座り込む忠。
しかし何も起こらなかった。
媚娘が毒杯と何もない杯を差し替えていた。
媚娘は、忠を見ながら力を込めて差し替えた杯を置く。
それを見た忠は自分の企みが見抜かれていたことを悟り、力なくうなだれるのだった。
~我的感想~
媚娘と雉奴がいい夫婦になったなと思えた回でした、感無量です。
雉奴は、病気の事、媚娘のことで苦悩しきてここで感情が爆発しましたが、お互いの気持ちを再確認することができ、洛陽の牡丹を見に行く約束をしました。
病気抱えている人とってこういう先々の約束は大切なものになると思います。
それが愛する人とのものなら尚更だと思う。
ただ雉奴の苦しみも伝わって来て「偉大な皇后までいらない」という言葉は重く響きました。
小さい頃から憧れの人、媚娘に守ってもらっていたけど大人になったら自分が守ると思い続けていたんだよね、でもいつまでも媚娘には敵わない‥、辛いな。
それだけでなく媚娘以外の家族に対する劣等コンプレックスも抱え続けていて、雉奴の心の奥底にあるものを吐き出したセリフは見ている側も重い気持ちになりました。
自分なりに努力し続けても優秀な人にはとても敵わない気持ち、わかるよーわかるよーと共感してました。
ただ、廃后を奏上した者たちへの罰を表向きは格上げして実権を奪うというやり方にしたり雉奴も変わってきていて、優しいだけじゃない皇帝になってきていると感じて少し安堵。
忠の無謀な暗殺計画は、媚娘に見抜かれ逆手に取られる始末。
実行役の女官の毒混入も雉奴の横にいる媚娘に丸見えでした。
媚娘からしたら策謀レベルは入門編ぐらいなのではと思うお粗末ぶり。
忠のなんかあの陰気で陰湿な目が怖いです、クリクリ眼でかわいかった忠はどこへやら‥。
あっという間に74話になりました。
長孫無忌の言う「時機」はそろそろでしょうか。