武則天 #61 李世民の遺詔

 媚娘は高陽公主と共に流産の原因が何か調べているがはっきりしたことはわからぬままだった。

 高陽公主は、皇后から送られた菊花の図の刺繍の絹糸に話をもっていき媚娘が怪しむように仕向ける。

早速媚娘は絹糸を調べるよう瑞安に頼む。

 

 媚娘は高陽公主に下手人は王皇后で絹糸の材料と甘草の相克作用で猛毒となりそれが原因で流産したと告げる。

 高陽公主は、媚娘が雉奴を奪って皇后の座に就くことで王皇后を倒せるとけしかけるが媚娘はそれは出来ないと言った。

 明日、長孫無忌と大臣達が媚娘を感業寺に戻す奏上を行うとし、「妃」という身分を得られれば宮中に留まれるとなおも食い下がり説得する高陽公主に媚娘は雉奴を愛せないと拒む。

 

 高陽公主は酒を煽っている雉奴の様子から媚娘が後宮に入る気がないことを悟っていることを感じ取る。

 太宗への愛を貫く媚娘を自分と弁機の愛のようだと話す高陽公主。

それを聞いた雉奴は高笑いをした後

 「媚娘、父上にはそれほど愛する価値があると?」

と言って嘆く。

そして高陽公主に太宗の遺詔を見せた。

遺詔を読んだ高陽公主は

 「国のために我が子を殺せるのですね」と驚き 

 「父ならやりかねない」

 「これが私たちの父上なのです」

と泣きながら話す。

 高陽公主は遺詔のことは内密にして燃やすよう提案した時、雉奴は持病の頭痛に襲われる。

 横になり休む雉奴は、高陽公主に遺詔を必ず燃やすよう頼む。

 遺詔に火をつける高陽公主。

 

 泣いている媚娘を訪れた高陽公主。

 雉奴に嫁げないと言う媚娘に焦げた太宗の遺詔を見せる。

 遺詔を読んだ媚娘は偽物だと信じようとしないが、雉奴の情がなければ王皇后が子を殺める前にとっくに殺されていたことや感業寺で見た花火、影絵も雉奴が媚娘を思いやりしたことだと明かす。

 激しく取り乱す媚娘に自分の為に後宮に留まるよう言い聞かせ、今から甘露殿にいる雉奴に会いに行くようそそのかす。

取り乱し高陽公主を突き飛ばしてその場から立ち去ろうとする媚娘の背中に子の敵を討つ最後の機会だと念押しをする。

 ショックで彷徨う媚娘がたどり着いた先は、雉奴のいる甘露殿だった。

 抱き合う媚娘と雉奴。

 

 雉奴は王徳から長孫無忌は媚娘が感業寺に戻ったら密殺するつもりであったことを知らされる。

 

 甘露殿の前には媚娘を感業寺へ戻す奏上をする為、長孫無忌や大臣達、王皇后、蕭淑妃が集まっている。

そこへ手を取り合う媚娘と雉奴が現れる。

驚く王皇后。

 「ついに唐に災いが訪れてしまった」嘆く長孫無忌。

王徳は媚娘を昭儀に冊立したことを宣言する。

それでも感業寺に戻る奏上を行う長孫無忌だが、雉奴は子を失った媚娘は太后ではなく高陽公主に使える侍女で今は朕の昭儀だと言い、異議があれば太極殿で述べるよう命じる。

雉奴は横にいる媚娘に「追放させるものか、朕の側に置く」と伝える。

なおも奏上しようとする王皇后だが雉奴に退けられ集まった妃達は意気消沈して立ち去っていく。

  

 何も知らない高陽公主は弁機の墓の前で嘆いていたが、侍女から雉奴が媚娘を昭儀に封じたことを知り笑顔になり、朝議で関隴集団が反対したものの呉王と李義府が雉奴を支持したと聞き満足気に皇宮へ戻る。

 

 媚娘の昭儀冊立に反対する関隴集団の裴行倹は命を賭して異を唱え頭を打ちつける。

余りのことに動揺する雉奴だが裴行倹は「勅命を撤回して下さい」と流血しながら頭を打ち続けるのだった。

 

~我的感想~

 前回もそうですけど高陽公主が人の心の奥底を突き動かし自分の復讐の為に利用すべく立ち振る舞う姿が見所です。

 雉奴、媚娘それぞれの想いに刺さる言葉で刺激してやんわり接したり激しく迫ったりと凄腕です。

 遺詔に火をつけたもののこれは使えると思ったのか燃やすのをやめいてそれを媚娘に見せる残酷さが怖いです。

 弁機を処刑された怨みと復讐が高陽公主を動かしているのでしょうが媚娘を雉奴の元に行かせることで何がどうなるのかがわからない。

 

 媚娘が太宗の遺詔を見てしまいましたが媚娘でなくても正気を失ってしまうでしょうね。

媚娘にとって太宗との愛は美しい想い出でこれまでもこれから先も心の支えになるものだったはずなのにこれほどの非情な内容は多分先帝への想いも崩れていくのを感じたのではないでしょうか。

 個人的にはもちろん媚娘に想いに共感しつつ、でも唐の皇帝という立場だった太宗からすれば不吉な存在とされてしまっている媚娘の子が産まれた場合の朝廷、後宮や人民への影響を考えると死を待つ床で非情な最終判断をせざるを得なかったのかもしれないという思いも持ちました。

 

 雉奴が媚娘を愛おしく見つめるシーンは輝くセットと相まって美しいのですが、人生最愛の人が自分の所に来てくれた感激の思いでいっぱいの雉奴と復讐の為には雉奴の元に行くしかない媚娘、お互いの気持ちが違い過ぎて美しくも切ないものに感じました。

 

 媚娘を昭義に冊立宣言時のお衣装が豪華で美しすぎて眼福眼福。

ずっとファンビンビンさんを見てると彼女の美しさに目が慣れてしまうのですが、改めて美しさと華やかさに見とれてしまいます。

頭の飾りもすごいので撮影は大変だっただろうなと思います。

 

物語としてはこれから波乱含みですね。

長孫無忌も皇后も蕭淑妃も黙っていないと思いますし媚娘も復讐するために策を練っていくでしょう。

昭儀冊立宣言の時にはすでに覚悟を決めた媚娘の表情になってました、凛として格好よかったです。

いつまでも高陽公主の駒でい続ける媚娘ではないと思うのでどこで変わるのか楽しみです。