蕭淑妃は媚娘は子を失ったからこそ宮中に永久に留まるのではと懸念し始め王皇后に会いに行かねばと呟く。
太宗の遺詔を眺める雉奴はため息をつき、すべてが天意だったのかと漏らす。
そこへ大理寺の戴青がやってきてあらゆるものを調べたが異常はなく、また王皇后
が用意したお茶に含まれていたのは安胎効果のあるものだけだったと聞かされる。
媚娘が目覚めたと王徳から聞いた雉奴は急いで竹林雅軒へ向かう。
同じく媚娘が目覚めたことを聞いた長孫無忌は、長孫沖に媚娘を宮中から追い出す奏上文を側近の者達に出させるよう命じる。
失意の媚娘は流産の原因がお茶を飲んだことだと考えているが、そのお茶は王皇后が用意させたものだと瑞安から聞かされる。
そこへ雉奴が見舞いに訪れた。
媚娘が跪いて挨拶し立ち上がろうとする時、手を差し伸べる雉奴。
しかし媚娘がその手に触れることはなかった。
媚娘は皇后が用意したお茶について雉奴に訊ねるが何の問題もなかったとと知らされる。
その様子を媚娘の見舞いに訪れた王皇后は少し離れた場所で見ていた。
雉奴は、媚娘の冷たい態度に
「そなたが朕を恨むのも当然だ」
と言う。
「恨んではいません。誰を恨めばいいのか
私は子を守れませんでした。愚かにも宮中に戻ったのは私の過ちです
悪いのはこの私、お引き取りを‥」
媚娘はそう言って戸を閉めた。
残された雉奴はしばらく立ち去れずにいたが王徳に促されようやく離れた。
そんな雉奴を陰から見送る王皇后。
「私のことも我を失うほど案じて下さったらどれほど幸せか」
そう言い涙ぐみ、媚娘を見舞うことなくその場を後にした。
媚娘は高陽公主を呼ぶよう瑞安に頼む。
長孫無忌が手配した奏上文が雉奴の元に届くが、タイミングを見計らったように当の長孫無忌本人がやって来て媚娘をいつ感業寺に送り返すのかと問い質す。
雉奴は療養後に送り返すと曖昧に答えるが長孫無忌は媚娘にとり皇宮は悲しみをもたらす場所で留まりたくないはずだと話す。
その言葉を聞いて雉奴は一か月後に媚娘を送り返すと約束してしまう。
赤ちゃんのために準備していた品々を燃やしている媚娘。
そこへ高陽公主が訪ねてきた。
高陽公主は媚娘が宮中から離れる手助けをすると話すが、媚娘は宮中に留まりますと言ったので、高陽公主は驚く。
そして媚娘は下手人に復讐する為助けて欲しいと頼む。
流産し感業寺へ戻る媚娘はもう脅威ではないと話す王皇后に、今回の流産は雉奴を籠絡する為の自作自演であり、先帝四妃の不幸に媚娘が関わっていると吹き込む蕭淑妃。
蕭淑妃が立ち去った後、王皇后は
「武媚娘はともかく蕭淑妃こそ陰険で信用できないわ」
と吐き捨てるように言った。
竹林雅軒の前で物憂げにたたずむ媚娘、そこへ雉奴が訪ねてくる。
媚娘の腕をつかむ雉奴だが振りほどかれてしまう。
そして雉奴に帰るよう促し媚娘は扉を閉じる。
雉奴は扉越しに二人が結ばれた夜のことを忘れようとしたが忘れられないと明かす。
そして
「そなたの為にすべてを捨ててもいい
そなたを幸せにできるならこの命も国も欲しくない
なぜ朕は天子になったのにそなたを愛する資格すら持てぬのだ」
と言い、続けて掖庭で初めて会ってからの変わらぬ想いを打ち明けるのだった。
そんな雉奴に媚娘は二度と罪は犯せないと辛い気持ちを伝える。
それでも雉奴は媚娘を失いたくない、支えて欲しいと懇願する。
甘露殿に高陽公主と雉奴がいる。
高陽公主は雉奴が長孫無忌に媚娘を感業寺に送り返すと約束したことを激しく責めて立てる。
雉奴は今の後宮は媚娘にとって悲しみをもたらすだけだなので引き止められないと力なく答える。
高陽公主は媚娘が復讐の為、宮中に留まるつもりでいることを明かす。
それを聞いた雉奴は媚娘が宮中に留まり下手人を探すことを認めるとし、自分が黙認していることを媚娘に知らせぬよう言い渡した。
高陽公主は感業寺へ送り返さぬ口実があるとし、それは媚娘を雉奴の後宮に入れることで最終的には皇后に立ててもいいのではと申し出る。
思いもよらぬ提案に「正気を失ったか」と激怒する雉奴。
そんな雉奴に高陽公主はこの策は媚娘を手に入れ添い遂げるという兄の宿願を果たせると同時に媚娘を助けることにもつながるものだと説き
「宮中に留めおいて生涯を共にするか
感業寺へ送り返し二度と会わないか」
雉奴次第だと言い残し去る。
「媚娘を朕の皇后に?」
茫然とし力が抜け座り込む雉奴。
~我的感想~
雉奴が主役の回でしたが、切なすぎてこちらも心が苦しくなりました。
雉奴にとっては忘れられない一夜だけど媚娘にとっては罪を犯した一夜。
それぞれの立場に立てばどちらも理解できる心情です。
掖庭で出会って以来の媚娘への想いを打ち明けるシーンはとてもとても切なくも素敵なシーンだったと思います。
結局媚娘に受け入れられることはなかったですが、長年の想いを真っすぐ純粋に余計な演出もなく雉奴らしく伝えられたことはよかったんじゃないかなと思いました。
高陽公主は媚娘を雉奴の後宮に入れる案を推しますが、それを聞いて激怒する雉奴にひるむどころか
復讐できなければ命を絶つかも
後宮にいれて最終的に皇后に立ててもいいかも
宮中に留め置いて生涯を共にするか
感業寺に送り返し二度と会わぬか
と言って雉奴の感情を煽りまくります。
雉奴の真情をわかった上で言葉と表情で煽りまくる高陽公主が素晴らしい。
妹の高陽公主の方がうわ手ですね、まんまと嵌まりました。
そして動揺する雉奴もこのシーンを盛り上げてくれてると思います。
雉奴の媚娘に対する気持ちにやましさはないのはその通りだと思いますが
「媚娘を朕の皇后に」
この言葉は何度も頭に響いてることでしょう。
長孫無忌は媚娘を感業寺に送り返すことを諦めないと思いますし、王皇后と蕭淑妃も共通の敵である媚娘を追いやる為に手を組みそうな気もしますね。
王皇后が蕭淑妃を「陰険で信用ならない」と評したことにその通り!と心の中で叫ばせてもらいました。
王皇后、さすがです。