武則天 #76 敵が知己に

   雉奴の痛風の発作が頻繁になっていることが噂になっていることを踏まえ、今回の封禅は最初から最後まで雉奴一人で行うべきだと言う媚娘に「そなたにはかなわぬ」と答える雉奴。

 

 長孫無忌は名匠に作らせた、片手で操ることができ100歩先にいる騎兵の鎧を射抜けるという弩を見せる。

そして矢尻に毒を塗ったので矢一本で必ず命を奪えると教える。

長孫沖が試射すると弩は離れた場所に置かれてある鎧に勢いよく命中した。

 

 朝議の場、雉奴の後ろの垂簾越しに媚娘が控えている。

長孫無忌は、封禅での二度目の献酒の儀は媚娘が行うよう奏上する。

長孫無忌の提案を雉奴は不審がるが、長孫無忌は雉奴と媚娘は一心同体であり、後宮を仕切っている媚娘は功績があることを理由に挙げ、聞き入れてくれるよう頭を下げる。

 

 雉奴は長孫無忌の罠ではないかと不審がり、媚娘も長孫無忌の真意を測りかねていたが、行かないと大臣らは雉奴と媚娘が長孫無忌を疑就ていると邪推すると言った。

そして制したばかりの門閥の気勢を再燃させてはいけないと続け、危険を承知で行くことを決めた。

 

 媚娘が釈迦牟尼仏の前に立った時、影から「武媚娘」と叫び弩を手にした刺客が現れる。

手を広げ仁王立ちで目を閉じ対峙する媚娘。

 「唐のためにこの妖婦を排除する」

刺客はそう叫び弩の引き金を引く。

しかし弦が切れ媚娘殺害は失敗に終わる。

捕らえられる刺客。

自身が無傷であることを確認し信じられない表情の媚娘。

 

 碁を打つ忠は、媚娘が襲われたと報告を受けるが、無傷であったことを知る。

使いの者に「そうか。よかった」と言ったが、その者が去った後

 「なぜ傷一つ負わぬのだ」

と言い、碁盤を勢いよくひっくり返した。

 

 媚娘は、自分が助かったのは弩に誰かが細工したのだと疑い、弩を徹底的に調べさせるよう雉奴に頼んだ。

そして媚娘は、弦が切れたのは偶然ではなく誰かが私を救ったと雉奴に話す。

 

 許敬宗の元に長孫無忌の計画の下、関隴集団皆が関わっているとする密書が届く。

許敬宗により韋季方が捕らえられる。

 

 雉奴は、李義府に許敬宗に届いた密書の内容が本当なら泰山での刺客は長孫無忌の計略であり、門閥の大臣も皆関わっていると指摘。

そして今回の出来事は関隴集団の勢力を削ぐ好機だと言った。

そこに大理寺からの知らせで捕らえられた韋季方が首謀者は長孫無忌であると白状したとの報告が入る。

雉奴は、羽林軍に即刻長孫府を包囲しろとの勅旨を出した。

 

 羽林軍に包囲され軟禁状態にある長孫無忌と沖。

長孫沖は、このような状態になっているのは雉奴が何かを察した為であり、証拠集めをしている中、座して死を待つのかと長孫無忌に問う。

長孫無忌は、「追い詰められた時こそ軽率に動いてはいけない、憤怒せずに力を蓄え、時機を待つのだ」と諭す。

 

 媚娘は雉奴に黒幕が長孫無忌であるなら私は生き残っていないと疑問を口にするが、雉奴は長孫無忌から届いた奏上文を見せる。

そこに過去の功績と情が記されていた。

長孫無忌の真意がわからず怒る雉奴。

媚娘は、そんな雉奴に長孫無忌と直接会うことを勧めるが、雉奴は今回の事は嘘だと願っていてそれゆえ会うのが怖いと本心を明かす。

媚娘は、雉奴の代わりに長孫無忌に会って真意を探ること提案し、雉奴も媚娘に任せることにした。

 

 向かい合う媚娘と長孫無忌。

媚娘は長孫無忌が首謀者でありその計画を壊したのも長孫無忌ではないかと問う。

 

 長孫無忌は、関隴集団の上官儀が謀反に加わったこと、忠が雉奴を毒殺しようとしたことでもはや国の前進を妨げる存在になってしまった関隴集団を潰そうと思ったと真相を語る。

そして雉奴が成長したことで先帝から託された役割を辞する時が来たとも語った。

長孫無忌は媚娘とは互いに争ってきたが

「友が敵となり

 敵は知己となりました」

と言い今後李氏の唐の行く道を雉奴と共に手を取りお守り下さいと媚娘に託した。

 

 媚娘は雉奴に長孫無忌は自分が首謀者だと白状したと報告。

雉奴は、長孫無忌の命を奪わず揚州へ行かせ長安への帰還を禁じる処置を取り、子供達も流刑にする一方で長孫一派は至る所にいて勢力も絶大なので反撃に備えなければならず、各地に兵を送り完膚なきまでに潰すと言い切った。

 

~我的感想~

 長孫無忌は、媚娘暗殺未遂事件を利用して腐敗しきった関隴集団を潰す気だったという驚きの急展開。

長く続いた二人の争いの着地点を互いにわかり合い、認め合うというものにしましたね。

検閲もあるし着地点をどうするかは難しかったと思います。

長孫無忌からすれば李世民と命がけで作り上げ、あそこまで繁栄させた唐という国が何より大切で永遠に続いて欲しいと願っているんだなと思いました。

その為には自分を犠牲にしてもいいと思っていたのですね。

そして長孫無忌が言っていたように唐や雉奴のためになるような真相の明かし方をする媚娘。

何も知らない雉奴は、忠に続いて叔父である無忌にも裏切られたと思っていてこれはこれで辛いです。

 

複雑に絡み合った謀を解きほぐしていく媚娘と額面通り受け取る雉奴。

政務においてもなくてはならない存在になってきています。

 

 

封禅の儀式の時の媚娘のお衣装が美しくて超豪華ー!!

首周りはクジャクの羽、マントには大きなクジャク刺繍。

皇后が暗殺されかけるというドラマ上、大切なシーンではありますが、数分間の為にあれだけの凝った豪華なお衣装を作るなんて中国ドラマ恐るべしです。

何度も一時停止してじっくり見させていただきました。

ファンビンビンさん、豪華お衣装が重かったのかな、歩きにくそうにしていて、慎重に歩を進めてました。

 

長孫無忌役の方の出演は、結構長かったですよね。

全身からあふれ出る重臣感に圧倒されていたので、こういう存在感のあって力のある俳優さんがいなくなると寂しくなります。