武則天 #49 大臣たちの嘆願

 「弟子への情を捨てることができぬのもわしの運命です」

袁天罡は長孫無忌と共に皇宮へ向かう。

 

 媚娘から頼まれた徐慧への届け物を侍女に預けようとする瑞安。

侍女から徐慧が瑞安に会いたいと言っていると伝えられる。

徐慧は文娘は殺されたのではないかと疑っていると言い、文娘が死ぬ3日前までの言動を記した調書を渡す。

瑞安が何か手掛かりを見つけたか探る徐慧。

瑞安は何の進展もないと答えた。

そこへ侍女が報告があると言って現れ、長孫無忌が袁天罡を連れて李世民の前へ連れて行ったと聞き満足げな表情の徐慧。

 席を外した徐慧を待つ瑞安は奥の部屋にある燭台を見つける。

そしてその燭台の底の裏に「文」の文字が。

 

 袁天罡を連れてきたことに怒る李世民

長孫無忌は立太子の件や軍に同行していたことを持ち出し、媚娘はか弱き女子などではないと非難した。

そして大臣から長安の民までが陛下は女子のため規定を破り政を疎かにしていると噂になっていると話す。

李世民は皆に下がるよう言い考える時間をくれと言った。

 「陛下自身の為にも占卜を行うべき」と食い下がる長孫無忌。

外には占卜を求め大臣たちが跪いている。

それを見た雉奴は駆け出していく。

 

 呆然自失の瑞安が戻って来た。

文娘を殺した犯人は徐慧で「文」の文字がある燭台を徐慧の部屋で見つけたと明かす。

半信半疑の媚娘に絹の色を記した紙片を目にすることができた者、文娘に欺くよう命じられる者は徐慧だけだと話した。

敵を討ちにいこうとする瑞安を止め、まず確かめるべきと諭す媚娘。

そこへ雉奴が慌ててやって来て甘露殿での一件を伝える。

そして長孫無忌が媚娘が軍に同行した一件について触れたことを聞いた媚娘はそのことを徐慧に話したことを思い出す。

媚娘が軍に同行していたことを大臣達に知らせたのは徐慧だと気づく。

媚娘は瑞安に明日何が何でも会える手筈を整えるよう頼む。

媚娘は雉奴から占卜をするよう跪いている大臣の大多数は関隴集団だと聞く。

そして長孫無忌に取り入ろうとする李義府を見たと雉奴は話した。

 「李義府」その名を呟く媚娘。

 

 跪かせて下さいとお願いし関隴集団に媚びる李義府。

しかし皆に出自を馬鹿にされ蔑まれ李義府はその場を去る。

 李義府に近づく瑞安。

 媚娘は「共に道を切り開きましょう」と切り出す。 

李義府の出自の卑さゆえ苦労していることそしてそれは長孫無忌を倒さないとこの先も変わらないことを指摘する。

媚娘の標的が長孫無忌なのかと聞く李義府に

「いいえ、私と李殿の標的です」

と答える媚娘。

長孫無忌を倒さないと二人に前途はないと説得する。

しかしまだ逡巡している李義府に

「どんなに卑劣でも有能であれば構いません」

と媚娘。

李義府が協力することで媚娘が権勢を得れば李義府の発言も増すと続ける。

そして李義府一人ではなく出自の低い者達の集団である寒門集団が結束して長孫無忌に対抗すればよいと提案する。

それでも尻込みする李義府。

媚娘は李義府に

「私が今宵のこの局面を乗り切れたら今後は私についてきてくれますか」

と問う

「乗り切れればついていきます」

 

 媚娘は大臣たちが跪く中、甘露殿へ向かう。

媚娘は李世民に大臣達に跪かせるのを止めさせ占卜もさせない為には自分が二度と皇宮に戻らなければ解決すると話し、他に策はないと話す。

そして称号を剝奪し二日後房府に嫁ぐ高陽公主の侍女にするよう頼んだ。

 

 李世民は長孫無忌、房玄齢に媚娘は高陽公主と共に房府に行かせ以後入宮を禁ずるとし、そうすれば媚娘は「女帝武氏」であっても国に災いは怒らないと話す。

そして媚娘に二度と会わないと断言し媚娘を冷遇したり命の危険にさらせば罪に問うと言い渡した。

李世民の案を房玄齢は受け入れたが、長孫無忌はその場しのぎの策であるとして納得しない。

李世民は激怒し

「朕に指図をするな」

と言い放った。

 

~我的感想~

 とうとう「文」文字がある燭台を瑞安が徐慧の部屋で発見!

 やっと媚娘は大臣達に密書を送ったのが徐慧であることに気づく!!

ようやく本当にようやく徐慧、万事休すかな。

しかし媚娘も最大の危機を迎えてしまいました。

追い詰められ後ろ盾のない媚娘は、皆から蔑まれ節操がない李義府と組まざるを得ない状況に陥ってしまいます。

これまで媚娘が行動を起こす場合、陛下の為に‥だったり、時には媚娘が泥をかぶってでもというものだったのが今回は自分の生き残りを賭けてなりふり構わず動き始めました。

媚娘のステージが変わってきているのを感じます。

 

取り敢えず長孫無忌達をなだめる為、媚娘は皇宮を去り二度と会わない案を陛下に提案、陛下も長孫無忌らに伝えますが、これを機に媚娘の息の根を止めたい長孫無忌は当然納得しません。

媚娘が大人しく身を引くわけがないとわかっているのでしょう。

 

 文娘を殺害したことが露見しそうな徐慧ですが、自身の身が最悪の結果になったとしても媚娘が宮中を離れ二度と戻れなくなり陛下とももう会えなくなる不幸な状況になればそれはそれで目的達成したとして満足しそうな気がします。

  

  いつ裏切るかもわからない下っ端の李義府と組む媚娘にわくわくします。

これまできれいな媚娘像が前面に描かれていましたがそろそろ通説の媚娘像を混ぜて欲しかったので楽しみです。