武則天 #50 涙の決別

 李世民と媚娘は二人甘露殿から外を眺める。

「北方の戦でも我々を引き裂けなかった

 それなのに我が皇宮でこんな目に遭うとは」

嘆く李世民

媚娘は水汲みの馬車に鈴をつけて毎朝房府の前を通らせるよう頼む。

鈴の音で皇宮を出発する時は李世民が媚娘を房府の前を通る時は媚娘が李世民を思い出すと語る。

寄り添う二人。

 

 燭台を撫でる徐慧の元に媚娘が称号を剥奪され高陽公主の侍女となり皇宮を離れることになったと報告が入る。

そして媚娘の「御花園で会いたい」との伝言を聞く。

 

 李世民の元に媚娘の命を受けたという瑞安が訪れる。

 

 媚娘と徐慧が会う。

離れたところに王徳と兵の姿があった。

 

 媚娘は、自分が戦地へ赴いた噂を流したのはあなたでしょうと責める。

徐慧は自分ではないと否定し瑞安の筆跡をまねた文を見せる。

文を破る媚娘。

媚娘は、文には瑞安に一言も話していない内容が書かれているとしその内容を知っているのは徐慧だけだと明かす。

密書をばらまいたのは自分だと認める徐慧。

そして皇太子の一件、文娘殺害も認めた。

徐慧は先に裏切ったのは媚娘だと激しく責める。

御書房に仕えていた時、李世民が徐慧のことを「媚娘」と呼んだことがあり、媚娘がいる限り自分は幸せは来ないと悟ったと明かす。

媚娘に「あなたは永遠に他人の身代わりでしかない」と言われ激高した徐慧は殴りかかり首を絞める。

もみ合う二人。

「私が心から尊敬し敬愛していた徐慧さんは死んでいる」

「あなたの行く末に幸せなどないわ」

そう言って徐慧の元を去る媚娘。

徐慧は悪態をつき「私が勝ったのよ」と叫んだ。

全てを聞いていた李世民は何も言わず王徳や兵士と去る。

 

 錦落宮の庭園を侍女と歩く徐慧。

そこへ李世民がやってきて媚娘と話していた内容を聞いていたことを告げ、承乾の一件、文娘殺しの一件を確認する。

うなずく徐慧。

そして何度も媚娘を陥れようとしたことも認めた。

 「私のおかげで安穏と暮らしていけるのですよ」

李世民は徐慧の頬をきつく殴りつけた。

徐慧は「殺してください」と頼み

 「死を賜れば陛下は私のことをお心にきざまれるでしょう」

李世民にすがる。

 「殺すだけでは物足りぬ。

  賢妃そのままで錦楽宮に住み続けるがいい、但し一人でな」

徐慧の体を突き放し

 「自害すれば九族皆殺しとする」

そう言って去って行った。

 

 文娘の霊を慰める瑞安。

媚娘は皇宮を出る前に顔を見に来たといい媚娘もまた文娘の霊を慰める。

 

 房府で鈴の音を鳴らす馬車が通り過ぎていく。

それを見送る媚娘。

 

 媚娘は外で食事しお釣りを受け取る。

受け取った銭貨に三日月形の傷があった。

それはかつて媚娘が開元通宝の鋳型の模型に傷をつけてしまったものだった。

握りしめ涙する媚娘。

 

 経を模写する高陽公主のもとを訪れた弁機。

 「すべてを失っても後悔しない」

と語り高陽公主は弁機に寄り添った。

 

 王徳はそろそろ媚娘を呼び戻してもいいのではと李世民にたずねるが宮外にいる方が安全だと否定した。

 

 高陽公主は酒宴を開いておりそこに呉王も同席していた。

弁機がいるため不機嫌な呉王。

高陽公主は媚娘に酒のお代わりを取りに行かせる。

お酒を取りに行った視線の先には雉奴がいた。

媚娘と雉奴を引き合わせたのは高陽公主が仕組んだことだった。

媚娘は会いに来てはだめだと雉奴にくぎを刺した。

 

~我的感想~

 媚娘は、徐慧の悪事の数々を自身の誘導尋問で自白させそれを陛下に聞かせることでようやく陛下は事の真相を知ることができ、徐慧に自害より孤独で苦しい生き地獄の日々を過ごすことを命じます。

 真相を知ってもらうためとはいえ徐慧と媚娘のバトルが本性を見せ合う激しい言葉の応酬と首絞めまでいく取っ組み合いだったのでそんな姿が大好きな人の記憶の中に残るのかと思うと悲しいです。

 ファンビンビンさんとチャンチュンニンさんのド迫力にドキドキハラハラで、女優さんって凄いなぁと改めて思いました。

 徐慧は、陛下に数々の悪事を知られても反省することはなく「私のおかげで安穏と暮らしていけるのですよ」と言い、媚娘には皇宮から離れれば元の姉妹に戻れると言ったり理解不能な怖い徐慧ワールド全開でした。

 

 そして何より敵を討つことができた瑞安に涙、涙‥。

仕える人によって運命が変わってしまう宮廷の理不尽さを感じました。

 

 とうとう媚娘と陛下は離れ離れに‥。

鈴をつけた馬車を毎日待つ媚娘見てるとやるせない。

陛下も喪失感を抱く日々を過ごしているでしょうが皇帝陛下という立場を長年続けていて分別をわきまえることができる人、一方その場しのぎの策で高陽公主に付き添うことにした若い媚娘はこの先どうなるのかもわからず一日一日が長く感じられ、陛下と約束した馬車が通る時だけが安らげる時間なのだと思います。

 

 雉奴が高陽公主に頼んで媚娘と再会にこぎつけるもたしなめられました。

雉奴の立場から見ると突然いなくなった媚娘が戻って来てくれたことで淑妃への身代わり愛も冷め再び慕っていたのにまた皇宮から去り、妹の侍女という何とも微妙な立場にいる媚娘なので諦められない気持ちはわかります。

 

徐慧にまつわる様々なことが一気に片がついたものの、皆の想いがすれ違って切ない展開になってきました。