武則天 #57 帝王の術

 互いにけん制し合う王皇后と蕭淑妃。

媚娘は王皇后を立てて話をする。

そこへ王徳が訪れ媚娘に甘露殿へ来るようにとの勅命が届けられた。

険しい目を向ける王皇后。

王徳との再会を喜ぶ媚娘。

甘露殿へ行くと雉奴は高陽公主らと共に媚娘と言う名を賜った様子の影絵を見せるが、媚娘は辛くなりその場を去ってしまう。

雉奴は媚娘にとり李世民との愛は美しい夢でそれを守ってあげたい、現実は違っても…と高陽公主に話した。

 

 承慶殿の火を灯す媚娘。

そこに同じように火を灯す雉奴がいた。

 

 呉王府から「急げ」と言って去って行く者たちの姿があった。

そこへ呉王が帰って来て去って行った者達の正体を楊青玄に聞くが出世しようとする者達ですと吐き捨てた。

そこに房遺愛らが訪れ長孫無忌に疎まれている者同士飲もうと誘われる。

 

 媚娘は雉奴が悩んでいることは長孫無忌が呉王を追放しようとしてることだと当てる。

そして媚娘と雉奴は長孫無忌に対抗する策として寒門を利用するとの見解で一致した。

媚娘は出世の為なら何でもする李義府の名を持ち出した。

長孫無忌を説得するという雉奴に説得は無理だとして「帝王の術」を使えばいいと助言する媚娘。

それは李勣のように一旦左遷した者を後日抜擢し忠義を得たやり方のことだった。

承慶殿を出た雉奴は王徳に李義府と許敬宗を呼ぶよう指示する。

 

 房遺愛が呉王府に訪れていることを知らされる長孫無忌。

最近眠れない原因が媚娘で宮中に留まれば災いが起きるかもしれないと懸念していた。

 

 雉奴は許敬宗に任務を成功させれば都に戻れるかもしれないと言い、捨て駒が欲しいと話す。

許敬宗が帰る時李義府とすれ違う。

雉奴は李義府に半月以内にある重臣が不正を働いた証拠を集めそれを朝議で奏上せよと命令した。

そして「ある重臣」の名を書いた紙を渡す。

雉奴は明日から全ての奏上文を媚娘に送るよう指示した。

立ち上がった雉奴、頭に痛みが走る。

 

 朝議で李義府は褚遂良を弾劾する奏上を行った。

褚遂良は罪を認め左遷されることになり、奏上した李義府は出世した。

 

 魯世は長孫無忌を弾劾する奏上を行った。

長孫無忌は政を牛耳っていて補佐を騙った謀反に他ならないという内容だった。

雉奴は魯世を即刻斬れと命じ長孫無忌の忠義心を疑う者は魯世寧と同じ運命になると宣言した。

 

 媚娘は素節にいじめられている子供を見つけ助けに入る。

媚娘のお腹に頭突きをしてきた素節のお尻を叩いた。

媚娘は助けた子供の手を引き「おいで」と言った。

 

~我的感想~

 瑞安に続き癒しの王徳さんとの再会シーンにほっこりしました。

 

 楊青玄が呉王不在時の呉王府で相変わらず怪しい動きをしています。

呉王は呉王で長孫無忌から距離を置かれている者達と交わって酒盛りを始める始末。

長孫無忌に監視されていることは容易に想像がつくだろうに二人とも軽率でハラハラして見てましたが案の定、長孫無忌には筒抜けでますます呉王を警戒し疎んじていくでしょう。 

 媚娘と雉奴、承慶殿で明りを灯す二人が出会うシーンは素敵でした。

でもその後の展開は甘いものではなく政で悩みの多い雉奴に「帝王の術」を使うようアドバイス、そしてその時の媚娘は心なしか生き生きしていてましたね。

 媚娘から助言を受け王徳に指示を出す雉奴、解決策が見つかりやる気がみなぎるいい顔になってました。

 

 李義府と許敬宗が共に雉奴から呼ばれ二人がすれ違うシーンがまたいいのです。

長孫無忌軍団と対照的な小物感と風格威厳のなさ、雉奴の期待に応えれば諦めていた出世ができるかも‥やり遂げねば!な感じが人間臭くて好きです。

 

 雉奴の狙い通り朝議は進んで行きます。

弾劾され追い詰められそうな長孫無忌を雉奴が救うという流れも上手くいきます。

長孫無忌も雉奴には甘いのか、雉奴にあれこれ策を弄することはできないと見くびっているのか裏を読むという疑いの気持ちはもってなかったですね。

 今回の朝議が上手くいったことで政に関することでも媚娘は雉奴にとってこの上ない欠かせない大切な存在になりそうです。

 雉奴は、媚娘に奏上文を読ませることにし、媚娘も断ることなく目を通してますが、いやそこまでするのは大丈夫なのかと心配になります。

雉奴の性格からして全面的に媚娘に頼るであろうことは想像がつくし、そのうち長孫無忌のみならず周りの人たちもそのことを知ることになるだろうと思うのでそうなると媚娘の立場はまた大変なことに‥。

 

 蕭淑妃にふさわしい傍若無人で粗暴な御子・素節のお尻を叩いた媚娘。

ただではすまないでしょうしむしろこれを利用して媚娘を追い詰めるところまでしそうな蕭淑妃。

 長孫無忌との戦いは続き皇宮に戻って来てまた後宮を敵に回しそうな媚娘です。