武則天 #80 繰り返される惨劇

 媚娘は、敏月母親の死の真相は、母親が入宮して雉奴に恋情を抱き媚娘の食事に毒を盛ったのを雉奴に暴かれ自害したのだと敏月に話す。

そして妃に迎えられたのなら温かく迎える、姉にやれなかった分報いてあげると告げ去って行く。

敏月は納得していない顔で媚娘の背中を見送る。

媚娘は、瑞安に敏月が長安に来て雉奴を誘惑したのも計画だったと言い、敏月を見張るよう指示する。

 

 媚娘に呼ばれた敏月を心配して雉奴が訪ねて来た。

敏月は、なんでもなかったと雉奴に話し、安心するよう言った。

 

 だが雉奴の元に敏月が高熱を出し、意識が戻らないと侍女が知らせに侍やって来た。

雉奴は、急いで合璧宮へ向かう。

 

 雉奴は、侍医から腕飾りから毒が体内に入り込んだと聞かされるが、その腕飾りは媚娘からの贈り物だと気づき、今回の件を他言せぬよう侍医に命じる。

 

 媚娘は、瑞安から

 「明日から静養に詰めよ」

 「朝議に来る必要はない」

という雉奴からの言づけを聞く。

そこへ狄仁傑がやって来て明祟儼が遺体となって発見されたことを報告。

驚く媚娘。

 

 朝議に出席している雉奴は、来月洛陽に移り、その間、李賢に監国を任せると告げるるが、それを聞いた李義府ら大臣達は、顔を見合わせた。

 

 朝議に媚娘が出席しなかったこと、来月から監国となるとの報告を受け、上機嫌の李賢。

そこへ媚娘から甘露殿への呼び出しがかかる。

 

 媚娘は、李賢に李弘を殺したと私を疑っているのか、私が天下を奪うと思っているのかと詰問する。

それを否定する李賢。

そして李賢は、これまで母から一度もほめられたことがないため母を前にすると畏怖してしまうと打ち明ける。

媚娘は、厳しく育てたのは兄弟の惨劇を繰り返したくなかったからと言い、平穏な人生を送って欲しいと言う言葉をかけた。

そして媚娘は、今日から二度と朝議には出ないと言ってから明祟儼が亡くなったと告げる。

そして監国となる李賢に国に尽くすよう言って励ました。

李賢は、媚娘に明祟儼の友である「孫無生」をどうやって探せばよいかと尋ねた。

李賢の言葉にショックを受ける媚娘。

そして涙ぐみながら「知らない」と答えた。

去ろうとする李賢を呼び止め

 「これから母は共に歩むことができぬ、体を大事にするのよ」

と伝える。その言葉に笑顔で応える李賢。

李賢を見送った媚娘は、瑞安に明祟儼を手厚く葬ることと狄仁傑に李弘の死に関する調査を中止するようにと伝えるよう指示し、後は瑞安が引き継ぐよう頼んだ。 

 

 李賢が訪れた場所で待っていたのは敏月だった。

敏月は、自分の策が功を奏し、媚娘を太極殿から追い出すことができたと満足気に語る。

だが敏月は、媚娘はそう簡単に引き下がらないと話す。

李賢は、母を殺す気なのかと驚く。

敏月は、怖気づいたのかと李賢を責める。

李賢は、雉奴と媚娘の間には亀裂が生じているのにとどめを刺す必要があるのかと媚娘

殺害をためらう。

敏月は、雉奴を合璧宮に留めさせられたのは一度だけで、以後は来ても話をするのみで、雉奴の心には媚娘しかなく媚娘が復権する可能性があるとして李賢に殺害を決行するよう迫る。

また李弘を殺したのが、敏月と李賢だと露見したら媚娘が許すと思う?と詰め寄り、今まで二人で策を巡らしてきたが、実を結ぶかどうかはあなた次第よと言って手を握り、ここまで来たら後戻りはできないと話す。

そして相王が近々、蒙頂茶を天后に贈るらしいと教える。

うなずく李賢。

 

 夜更けに媚娘を訪れた李義府は、雉奴の後ろ盾がなくなった媚娘の身を心配していた。

敏月が寵愛を独占する一方で媚娘は、太極殿を追われ、弘殺しの嫌疑がかかっていると指摘、これらは敏月が現れてから起こったことだとし、敏月を排除すべきと奏上する。

しかし媚娘は、敏月排除の意図を誰かが漏らせば身の破滅を招くと警告する。

そして媚娘の命令がない限り、敏月に傷一つ負わせぬようにと念押しする。

李義府は「よくお考え下さい」とだけ言って去って行った。

 

 媚娘が懸念していた通り、李義府や北門学士らが敏月排除を企んでいることは、早速独狐及から雉奴に報告が上がっていた。

次いで李義府と媚娘が会っていたことそして媚娘が明祟儼の死の報告を受けてから李弘暗殺の調査を中止するよう命じたことも報告される。

雉奴は、明祟儼の死を調べるよう命じた。

 

 瑞安は、李弘に毒を盛った宮女を調べたら李賢に繋がる手がかりが出てきたと媚娘に報告する。

媚娘は

 「子が過ちを犯したら母としてどうすべき?」

と呟く。

そして立ち上がり

 「羽林軍を東宮に集結させ、皇太子を捕縛せよ」

力強く命じた。

 

 趙道生の行方がわからず苛立ち怒り散らす李賢。

 

 趙道生は捕らえられ、明祟儼の死について白状するよう拷問を受けていた。

趙道生は観念し、李弘と明祟儼は李賢が殺した、自分は協力しただけだと白状する。

雉奴がその場にやって来る。

趙道生は,、東宮の馬房を調べるよう言った。

そこへ媚娘も李賢捕縛を命じたと報告が入る。

 

 東宮が羽林軍に包囲されている。

東宮が調べられ、馬房で大量の武具が発見された。

趙道生が裏切ったとわかり怒る李賢。

そして「母上」と呼びかけ

 「近くにいるのでしょう、出てくればいい

  身の程知らずの息子をご覧ください」

と叫ぶ。続けて

 「陰謀や姦計を巡らす点では、私など母上の万分の一にも及びません」

そして泣いて怒りながら

 「母上、顔を見せて下さい」

大声で叫ぶ。

李賢の言葉を媚娘は泣きながら聞いていた。

 

 李賢が東宮に拘束され、すべての罪を認めたと侍女から聞いた敏月は、自分の名前が出なかったと聞かされるが、それが人づてによるものだとわかり、不安になっている。

 

 媚娘と雉奴は久し振りに二人きりで会う。

李賢は謀反の罪との裁きが下ったと伝える雉奴。

逆謀を抱くことはゆるされぬし、兄まで殺したと言う雉奴に、李賢がこうなったのは自分の責任があると申し入れる媚娘。

雉奴は、媚娘の望み通り死罪は免じ、皇太子は廃し庶人として巴州へ移すという措置を決める。

  後継問題に悩む雉奴は、これまで政務を処理するうえで安心感を与えてくれたのは媚娘だけと言ったが、媚娘は子供たちを試してみましょうと返す。

 

 李賢が巴州に向かう日、媚娘は見えない所から見送りに来ていた。

誰も見送りに来ない中、敏月がやって来た。

敏月は、声を潜め、「蒙頂茶は天后に贈ったわ」と報告する。

李賢は、媚娘への復讐を諦めるよう言い、敏月に媚娘は倒せないと忠告する。

だが敏月はこの戦いは生きるか死ぬかで絶対に諦めないと言い残し去って行った。

一部始終を見ていた媚娘は李弘が死ぬ時、敏月の方向を見ながら「貴様が…」と言い残したことを思い出していた。

 

 雉奴は禁止されている酒を飲んだ為、発作を起こす。

発作を起こした雉奴の元を訪れた媚娘に、自身が軟弱ゆえ長年安泰だった唐に災いをもたらしたと嘆き、李顕の立太子に反対する多くの奏上文が届いていると明かす。

そして雉奴も李顕を当てにしていないと言い

 「もはや朕の望みは健康を取り戻すことだけ、他には何もない」

と疲れ切った表情で話すのだった。

~我的感想~

 やはり弘殺しは、李賢と敏月の共謀でした。

結局雉奴、李弘、李賢が敏月にまんまと惑わされてめちゃくちゃな状態に。

 腕輪の件、他にも李義府の敏月排除の奏上が雉奴に漏れたり媚娘にとっては厳しい状況になってますね。

雉奴も媚娘を疑っていて敏月を守る方向に動いています。

これまで長年公私共に信頼し揺らがなかった媚娘への愛が、敏月の登場であっけなく薄れていっています。

 敏月の言う通り雉奴の心の中には媚娘しかいないとしてもそれは雉奴が好きだった頃の媚娘で今の媚娘はどうなんだろうと思ってしまいました。

これから先また敏月に何かあった時、それが媚娘のせいと泣きつかれたら雉奴は、敏月の方を信じる気がします。

 復讐目的で始まった媚娘と雉奴の二人のことを少しでもいいからわかりあえて幸せな時間を過ごして欲しい派だったので、ここ数回の展開と現状にたまらない気持ちになります。

 まさか雉奴から離れていくなんて…

 

 もう一つ辛い展開は、李賢と媚娘の親子関係でした。

敏月にそそのかされたとはいえ凶悪な行為に手を染めた李賢は断罪されてしかるべきですが、媚娘に対して心の叫びを訴えるシーンは胸に迫るものがありました。

雉奴とも李弘ともそうですが、もっと互いに話をすれば、誤解が解けこじれることがなかったのかもしれないと思いました。

 

 最後のシーンで久し振りに雉奴と媚娘が穏やかな雰囲気で会話していて、ちょっとほっとしましたが、雉奴のメンタルと健康が心配なレベルになってきました。