武則天 #72 裏切り者の末路

 雉奴は、呉王に自分たちの作戦を長孫無忌が察知した為に隠居すると言い出したと指摘、それで目的は果たせたのだから精鋭部隊を宋州に返すよう指示する。

  

 雉奴は、媚娘に門閥貴族が長孫無忌の隠居を媚娘の策略だとして立后を全力で阻むだろうと話し、この局面を打開できるのは李勣だけだと語る。

だが李勣は朝議を休み毎日軍営にこもっていると困ったように話す雉奴に、媚娘は李勣は権力者なのになぜ曖昧な態度を取るのかと疑問を呈する。

雉奴は、それが李勣だと答え、李勣は玄武門の変でも中立を保っていたと明かす。

それを聞いた媚娘は、長孫無忌が祟敬寺で語っていた、呉王が謀反を起こすには軍だけではなく正当な理由で皇族の支持を得る必要があることそして「皇族で陛下を除いて他のどの皇子と公主が呉王と親交があり、私的な往来がありますか」という言葉を思い出す。

 そして媚娘は、雉奴から有事の際、感業寺に駆け付ける人物が呉王だと聞き出すと長孫無忌の読みは正しく、呉王は謀反を企んでいて高陽公主と内通しており先帝の忌日に政変を起こす気だと話し、長孫無忌を呼ぶよう雉奴に進言する。

 

 高陽公主と呉王は長孫無忌が隠居を申し出たのはおかしいと言い合う。

呉王は精鋭を近くの山に潜ませており先帝の忌日に感業寺を包囲させ、災いの種である長孫無忌を殺害するつもりだと言う。

 

 雉奴は長孫無忌を呼ぶ。

影からそれを見ている媚娘。

長孫無忌は呉王の忠誠心をずっと疑ってきたが、証拠がなく焦りを感じ、職を辞し病と称し屋敷にこもっていたと打ち明ける。

そして五千の精鋭部隊のの食糧事情から推察するに彼らが長安を離れる気はないと断言した。

嘘であって欲しいが、長孫無忌の話を聞くとそちらを信じるしかないと話す雉奴。

そこに媚娘が姿を現す。

長孫無忌は、精鋭部隊と戦うのに十分な戦力は時間の都合で間に合わないと指摘するが、媚娘は「私に方策がある」と言う。

 

 李義府と房遺愛は酒を囲んでいた。

このままでは高陽公主と房一族が危ないと話す李義府。

高陽公主の企みが察知されているとわかった房遺愛は、高陽公主を放免してもらうにはどうすればいいかと李義府に聞く。

 

 雉奴は持病の痛みが襲ってきて休むことに。

媚娘は、李勣がなぜ雉奴の為に働かないのか尋ねる。

長孫無忌は李勣が動かない理由は頑固だからで従わせられるのは妻だけだと媚娘に教える。

 

 高陽公主は房遺愛に酒で憂さ晴らしているふりをさせ雉奴と媚娘を欺かせていた。

二人は先帝の忌日に雉奴が来ること李勣の態度は曖昧であることを確認しあう。

高陽公主は、房遺愛に呉王を捕らえるよう言い、何としても五千の精鋭部隊を掌握しないといけないと言った。

 

 雉奴の着替えを手伝う媚娘は、心配そうにやはり感業寺に行くのかと確認する。

雉奴は、一縷の望みだが呉王を信じていて自分が行かないと呉王が傷つくだろうし、二心あった場合でも自分がいないと警戒心を招くと心の内を明かす。

「必ず戻る」

そう言って出発した。

心配そうに見送る媚娘。 

 

 弁機の墓の前にたたずむ高陽公主。

ようやく帝位を奪い長孫無忌の首を供えられると叫ぶ。

 

 房遺愛が信用できるか不安げな瑞安。

媚娘は五千の精鋭部隊に六千の禁軍で対抗するのは困難だが、敵軍の兵力を分散させることで優勢に戦えるとの見立てを話す。

 そして房遺愛が李義府の提案を快諾したのは、高陽公主の指示だと見抜いていて逆にそれを利用したと打ち明ける。

 

 「時は来た。感業寺を包囲せよ」薛万徹はそう言い、感業寺へ向かう。

 

 感業寺に集まっている王徳たちの耳に、争いの音が聞こえて来て騒然となる。

感業寺の外では高陽公主が率いる者達と禁軍が争いを始めていた。

高陽公主は配下の兵士に「禁軍を一刻留めれば金20両与える」と言い放つ。

 

 李義府は媚娘に頼まれていたものを渡す。

媚娘は待ちわびていたように玉佩を受け取り

 「これがあればきっとうまくいくわ」

と呟いて握りしめる。

 

 感業寺に反乱軍が乱入してきた。

一体何事かと動揺、混乱する寺内。

 

 李勣と長孫無忌が話している場にやって来た媚娘は、李勣に妻の玉佩を見せ戦いが始まった感業寺へ出兵するよう促し、さもなくば妻子の命はないと脅す。

 

 李勣の軍を見て逃げる高陽公主。

捕らえられた房遺愛らは死罪が言い渡され、連座した呉王は神龍元年に名誉を回復する。

 

 雉奴は、呉王や他の者達に責任を押し付ける高陽公主に対し唯一の身内であることを理由に不問に付した。

 

 刑執行直前まで高陽公主を探す房遺愛。その首に刀が振り下ろされた。

 

 弁機の骨壺を抱え逃げようとする高陽公主。

そこへ瑞安、従者と共に媚娘がやって来る。

従者の手に白い布が用意されているのを見た高陽公主は事情を察知する。

安定を殺したのはそうしないと長孫無忌と雉奴との対立が激化しなかった為やむをえなかったと言い訳する高陽公主。

媚娘は駒にされたこと二人の子を殺されたことそして生き地獄のように苦しみ抜いた日々があったのに許せる訳がないと突き放す。

媚娘は、徐慧と高陽公主二人を親友であり姉妹だとみなしてきたのに二人とも私を裏切ったと高陽公主を突き飛ばし

 「姉妹の情など信じない。

  結局は男を巡って対立するだけだわ」

とぶちまける。

高陽公主は、最大の敵は父親であり、それゆえ父親の築いたものをすべて壊し、いつか自分が皇帝になってみせると喚き、媚娘も雉奴も呉王も踏み台だと叫ぶ。

媚娘は、古より女帝など存在しないと咎めるが、高陽公主は女が帝位に就くことを禁じる規定はどこにもないと反論する。

高陽公主は「私を殺したいのでしょう、殺せば?」という言葉を媚娘にぶつける。

媚娘は笑いながら「ではお望み通り‥」と返す。

そして死後は房遺愛の隣に葬り弁機とは未来永劫離れ離れのままだと言い放つ。

それを聞きナイフを持ち媚娘を殺そうとする高陽公主。しかし従者に捕らえれその首には白い布が巻かれる。

首を絞められている高陽公主の耳元に「あなたの企みよね?先帝をみとれなかったのは」という言葉を最後にささやく。

高陽公主は瑞安の「やれ」を合図に自殺に見せかけるため木に吊るされた。

 

~我的感想~

 太宗崩御以来のヤマ場で登場人物同士の言葉のやり取り、駆け引き全て見応えたありました。

 

 呉王の死が字幕だけで終わってしまったので消化不良感と違和感が凄いです。

なぜかと思ったら検閲が入ってバッサリカットされてしまったようです。

感業寺での戦闘シーン、呉王の死という一番の盛り上がりと感動のシーンだったと思うので残念すぎます。

メイキングで呉王最期のシーンをちょこっとだけ見ることができたのですが、そのちょこっとですら泣きそうになりました。

雉奴の為に犠牲になるみたいな雰囲気でしたがじっくり全部見たいです。

つまり呉王に二心はなかったという結論で描かれていたということなのでしょうか。

そこもはっきりしないままだったので、もやもやしてます。

カットされたシーンに関わった役者さん始め多くの方々の努力を思うと残念という言葉で済まされないですよね。

大好きだった呉王がこんな中途半端な退場をしてしまうなんて悲しいです。

 

高陽公主は悲惨な最期を遂げました。

最期まで弁機、弁機、弁機‥そればっかりでした。

そして高陽公主の目的は皇帝になることで、皇帝になったら何でも自由にできる!という単純さ。

いやいやこんな人が皇帝になったらえらいこと。

わがままお嬢様の為に犠牲になった媚娘のおなかの子や安定が不憫でなりません。

いいように利用され大切な子達を殺された媚娘は、弁機と高陽公主を別々に葬り永遠に離れ離れにさせます。

心も頭の中も弁機のことしかなかった高陽公主に対して最大の復讐となったと思います。

高陽公主と媚娘の激しい応酬のシーンは長いですが、感情を持ち続けて演技されたお二人の女優さんに敬意と感謝です。

高陽公主の悪行を媚娘と同じくらい許さない!という顔の瑞安さんも見どころです。

 

媚娘の李勣に対する行動力、さすがです。これが媚娘です。

先帝時代の大胆な行動力を思い出させます。

 

あと高陽公主の私刑シーンから媚娘の眉メイクが変わってて違和感が…

しかもなんであんな眉になってしまったのか。

そしてますますお衣装と御髪がド派手に‥。

雉奴にもお髭が加わってました。

媚娘のメイクと雉奴の優柔不断さが今後心配な所ですね( ^^)