武則天 #71 交錯する嘘と真実

 媚娘は、金の刺繍に触れたのは陳貴人と高陽公主だと瑞安から聞き、心の中で敵を間違え守ってやれなかったと安定に詫びていた。

そして絶対に許さず命で償わせ全てを奪ってやると誓う。

 

 呉王は、雉奴に自身が率いる精鋭部隊を長安近くの山間に潜ませていると明かし、当日は雉奴の命令に従い感業寺に駆け付け、大臣達の前で長孫無忌の専横を暴いて関隴集団を一網打尽にしようと話す。

不安がる雉奴に呉王は、加えて中立の立場を貫く李勣も雉奴の長孫無忌排除の決意を知れば必ず味方につくと安心させる。

雉奴はためらいながらも計画を実行することを決意し、感業寺を制圧した時、長孫無忌に忠実な羽林軍を罷免する勅旨を呉王に手渡す。

 

 雉奴と呉王が二人きりでいることを瑞安から聞いた媚娘は甘露殿へ急ぐ。

 

 呉王は酔っている雉奴から実は媚娘が政務を執っていると聞き驚く。

雉奴は酔いつぶれて寝てしまう。

そこへ媚娘がやって来た。

 

 長孫沖は長孫無忌に呉王の精鋭部隊が宋州に戻っていないと知らせ、このことを雉奴に報告すれば呉王を反逆罪に問えると言い立てる。

しかし長孫無忌はそれだけでは謀反を証明するには足りないとして却下する。

そして謀反を起こすにしては行動がおかしいと不審がる。

 

 酔いつぶれた雉奴は寝室へ行き媚娘と呉王は二人で話す。

呉王は、自分が雉奴の暗殺を企てているのではないかと怪しんで様子を確認しに来たでしょう、お見通しですよと媚娘に言う。

 媚娘はある人から今回の呉王の帰還は謀反を起こす為だと聞いたと打ち明けるが、呉王はその「ある人」が長孫無忌だと言い当てる。

媚娘から疑われていることを感じ取った呉王は、どんなところが疑わしいのかと聞き、この場できちんと説明し潔白を証明するときっぱり言った。

媚娘は、匕首を持っているのでは?と聞くと呉王は「まさしく」と答え匕首を取り出し護身用だがなぜ知っているのかと聞き返す。

媚娘が李恭の話を持ち出すと長孫無忌の手の者だから殺したと認めた。

次に長安に剣や甲冑を運ばせたのは本当に楊青玄だったのかと問い質す。

呉王は答えを渋っていたが、武具を買ったのは楊青玄でも自分でもなく雉奴だったと白状する。

そして雉奴から長孫無忌に対抗するため影の軍隊を養成するよう頼まれていたと明かし

これが今回宋州から戻った理由ですと告白した。

驚く媚娘。

呉王は楊青玄が雉奴を殺そうとしたのは想定外の出来事で、あれが誤解を生んだ原因だと言って去って行く。

 

 酔って寝ている雉奴の横で政務をこなす媚娘。

 

 呉王は、房遺愛らに雉奴の勅旨を見せる。

そして先帝の忌日に五千の精鋭部隊と共に感業寺に向かい、長孫無忌と関隴集団を一網打尽にする、その時はよろしく頼むと言うと命を張って追随しますと誓う房遺愛達。

 房遺愛達の中にいた一人の男が長孫無忌に「呉王は謀反を企んでおらず」という文をしたためている。

 

 掖庭に閉じ込められている王氏の元へ食事を届けに来た李忠。

李忠は媚娘への復讐を口にするが王氏は復讐など考えず体を大事にするよう言い泣き崩れる。

 

 長孫無忌は密使から呉王は謀反の企んでいるのではなく雉奴の命を受け関隴集団を抑圧するつもりだと言う文を受け取った。

驚き、文を握りしめる長孫無忌。

 

 媚娘は雉奴に最後に王氏に会いに行くことを提案する。

哀れな姿を雉奴に見られたくない王氏は寝たふりをしている。

そんな王氏に髪飾りをつけてあげ優しく後れ毛を直してあげる雉奴。

雉奴が立ち去った後、王氏の頬には涙が流れていた。

 

 蕭淑妃と王氏の前に毒の入った酒壺と杯が置かれ決められた時間までに飲むよう言い渡される。

最後まで言い争う二人。

王氏は「欲望か情愛かどちらかを捨てねば

行き着くところは同じ 幸せなど望めない」と言い

まだなんとか生き延びようとする蕭淑妃に

「陛下は心も地位も全て媚娘に与えたわ」

「生きながらえても尊厳を踏みにじられる毎日よ

 そんなことはまっぴらよ」

と言って毒杯を仰いだ。

それでも生き伸びるため雉奴に面会を求めようとする蕭淑妃に子の為に死ぬよう説得する王氏。

ようやく蕭淑妃も毒を飲んだ。

 

 長孫無忌と向き合う雉奴。

長孫無忌は、呉王に謀反に疑いがあるので捕まえるよう進言する。

雉奴は再度探らせてみようと言って応じなかった。

長孫無忌は、雉奴の言葉で五千の精鋭部隊が城外に潜んでいることを雉奴が以前から知っていたことに気づく。

長孫無忌は、急に跪き隠居を申し出、死ぬまで政務に口を出さないと言った。

雉奴はそれを認めた。

長孫無忌が去ってから雉奴は王徳に呉王を呼ぶよう命じる。

 

~我的感想~

長安に持ち込まれた武具を買ったのは雉奴だったのはびっくりで私も媚娘と同じ表情になっていたかもしれないです。

 

 いやぁ恐るべし長孫無忌。

呉王が山中に精鋭部隊を潜ませていることを知っていたし、後々呉王が長孫無忌&関隴集団を感業寺で抑圧するつもりなのも知ります。

優秀な無忌の間者達。

そして長孫無忌と関隴集団を抑圧する計画に雉奴も関わっていることを雉奴の言葉で

気づき突然の隠居宣言。

この一連の流れ無忌らしい、さすが。

隠居宣言という先手を打たれたことで雉奴と呉王はどうするんでしょうか。

 

 呉王と媚娘の関係、いいですよね。

何でも本心を言い合えている気がします。

そして共通するのは雉奴を支えるという思い。

謀反の疑いが晴れてよかったです。

それにしても肝心の雉奴がもうちょっとしっかりしてくれたらいいのですが…

雉奴に代わり媚娘が政務を担っていることも呉王に知られてしまいました。

 媚娘が政務を代わってこなしていることで実務を学ぶことができそれが先々生きてくるんだろうなぁと思います。

 

王氏と雉奴の最後の面会はやるせない気持ちになりました。

王氏の手も血で染まっているけど今回死を賜ることになった理由である流産と安定の死には無関係なだけに複雑な気持ちになりました。

愛する雉奴の優しさに最後再び触れることができて少しは安らぐ気持ちを持てたでしょうか。

媚娘の、最後王氏に対して惨めな目に遭わせてやろうという目的が外れてよかったなぁと思いました。

 

 王氏と蕭淑妃二人が死を迎える場面はさすがに辛いものがありました。

特に王氏は、本来の柔らかな王氏に戻り潔く運命を受け入れ、最後の最後まで雉奴を想って旅立つ姿はかわいそうでたまらなかったです。

何とか死から逃れようとあがいていた蕭淑妃も王氏から説得を受け、子供たちの為に死を受け入れる姿は心に来るものがありました。

二人の最後の言葉が想いにあふれた「陛下」という言葉だった王氏と

「武媚娘‥」と恨み言満載だった蕭淑妃。

それぞれの役に相応しい言葉でしたし、女優さんお二人とも素敵でした。