夜伽の札に甄嬛の名が書かれるが、勅命がないのでひとまず保管すると言う徐進良。
甄嬛は、雍正帝から槿汐と共に温泉宮に招かれた。
槿汐は、雍正帝が温泉宮に招いた意図を甄嬛と二人きりで過ごしたいのではと推測する。
剪秋から甄嬛が沐浴を賜ったことを知った皇后は、雍正帝を興ざめさせぬため自身の温泉宮行きを取りやめる。
斉妃は皇后を寛大だと持ち上げ、これが華妃なら黙っていないと続けて言った。
バラの花が浮かべられた浴槽につかる甄嬛。
そこへ雍正帝が現れたので甄嬛は身構える。
雍正帝の後を硬い表情でついていく甄嬛。
雍正帝は寝台に先に腰掛けたが、立ったままなかなか動けずにいる甄嬛の手を取り横に座らせる。
「怖いのか」
「いいえ」
「なぜ顔をそむける。普通の妃嬪なら最初は怖がる」
「怖くはありません。
ただ陛下は私めにとって夫、今夜は初夜ですから緊張もします」
そう言い、うつむいたままの甄嬛。
そして夜伽について教わったのは皇帝に仕える方法で夫への仕え方は教わっていないと言った後、失礼なことをと跪いて詫びた。
自分を夫とみなした甄嬛に驚き、感心した雍正帝は、夫の前では戸惑う必要はないと言って甄嬛の肩を抱く。
華妃は浮かぬ顔で外を眺めながら「ついにあの女が寵愛を」とつぶやく。
そして甄嬛のことを貴人に封じられ通いつめ一人だけ温泉宮に招かれ、まるで楊貴妃のようだと嘆く。
頌芝は、楊貴妃は自害した、一時のことだと慰め、一時寵愛を受けた余氏の今の冷遇ぶりを挙げる。
華妃は
「だといいけど
でも陛下のお心を誰が測れるというの」
と弱々しく言った。
甄嬛は寝ている雍正帝の口に触れ、ろうそくの炎を見やり静かに起き上がってロウソクの芯をはさみでいじっていた。
目を覚ました雍正帝に甄嬛は、民間では初夜に朝日が昇るまで炎を絶やさなければ夫婦は添い遂げられるという伝承があると教える。
甄嬛の素直さがかわいいとほめる雍正帝は、一度だけ初夜の炎を守ったことがあると明かした上で、自分と添い遂げたいかと聞く。
「女ならば夫と添い遂げたいもの、私めとて同じ
望みだけで終わるのが怖いです」
と答える甄嬛。
雍正帝は
「その平凡さが何より得がたい」と褒め、甄嬛の手を握り、「むげにはせぬ」と約束する。
安陵容の元を訪れた沈眉荘。
安陵容は、沈眉荘の目にクマが出来ていることに気づく。
沈眉荘は、敬嬪と話し込んでいたと明かす。
沈眉荘は、「何もせず送り返されたのは私だけ」と言う安陵容の手を握り、次があると慰めるが「そんな運はありません」と返す安陵容。
二人は、甄嬛が戻ったらお祝いをと約束する。
皇后は、挨拶をしに訪れた甄嬛を労い、褒める。
皇后への挨拶を終え景仁宮を出ると小允子がお祝いを伝えに現れる。
槿汐は他に宮の仕事があるのにと言いつつ嬉しそうな二人。
小允子は、御花園を散歩してから戻るよう伝える。
甄嬛の後ろを歩く麗嬪の傍らには康禄海がいたが急にお腹の具合が悪いと言い出す。
呆れる麗嬪。
御花園で散歩する甄嬛に追いついた康禄海は、恭しく挨拶をする。
そして甄嬛に「お側に仕えさせて下さい」と言い出す。
断る甄嬛に康禄海はなおも食い下がっていたが、そこへ麗嬪がやって来た。
麗嬪を見て慌てて跪く康禄海。
麗嬪は「こなたの無能な太監に目をつけるの?」と甄嬛を責め立てる。
甄嬛は否定し「わきまえています」と返す。
麗嬪は、康禄海に文句を言いながらも視線は甄嬛の顔に向けられていた。
曹貴人が取りなしたことで康禄海は許されその場は収まった。
康禄海は「小主は命の恩人です」と言って頭を下げるが、甄嬛は
「麗嬪がそれほど簡単に許すかしら」と言って去って行く。
甄嬛が碎玉軒に着くと宮女や太監が跪いて出迎え「小主、椒房のお祝いを」という言葉をかけられる。
部屋に入ると勅命により壁が修繕されていた。
婚礼の習わしで壁土に山椒が練り込まれたのだ。
槿汐は、椒房を皇后以外で賜るのは稀で華妃と同等だと興奮気味に話す。
そして寝台も豪華に美しく一新されていた。
布団の下は、民間の習わしと同じように整えられていてそれを見た甄嬛は、雍正帝が自分の話を覚えてくれていたことを喜ぶ。
初めての伽で甄嬛が雍正帝自ら迎えるという特別待遇を受けたことを喜ぶ沈眉荘だが、他の妃賓はそうとは限らないと忠告する。
そして怖いのは麗嬪ではなく背後にいる華妃だと話す。
甄嬛は、皆の嫉妬をどうすればいいかと相談する。
沈眉荘は「忍耐よ」と言い、皇后ですら手を出せない華妃に自分たちはかなわないから
「機を待つしかない」と助言する。
沈眉荘が甄嬛の現状をどう思っているか尋ねると
「私達は一緒に後宮に入った。あなたが寵愛を得れば私も胸を張れるわ。
姉妹同然なのだから羨めど怒りはしない」
と答える。
そして甄嬛は「嫉妬する?」と聞く。
沈眉荘は、「少しね」と言ってから寵妃は多く、嫉妬していたらキリがないと言い笑い合う。
満月を見て父母を恋しがる安陵容。
寵妃となった甄嬛に対しわきまえないといけないと侍女に話す。
そして沈眉荘も甄嬛が召された時は眠れなかったはずと推し量る。
甄嬛の元に敬事房の徐進良が訪れ、今夜伽の準備をするようにと伝えに来た。
芳若に案内された場所で雍正帝を待つ甄嬛。
雍正帝は点心をもってやって来た。
言われるがまま食べてみると生煮えの点心だった。
甄嬛が意味が分からず戸惑っていると「そなたの望みだろう」と言われる。
プイっと横を向く甄嬛は「おふざけで?」と笑いながら怒ってみせる。
雍正帝は、民間で行われている、初夜で生煮えの餃子を食べる習わしを行宮でしたかったが、しきたりでできないこともあると話す。
そしてそれでもできることはかなえたいという言葉に涙ぐむ甄嬛。
雍正帝は、初めて見た杏の下にいた甄嬛は後宮の煩わしい諍いとは無関係のような超然とした様子だったと話す。
他の妃賓に及ばないと言う甄嬛に「あるがままのそなたでいるのが一番だ」言ってくれた雍正帝に抱きつく甄嬛。
麗嬪は、華妃に甄嬛が自分の太監を引き抜こうとしたと怒りながら告げ口する。
華妃は
「あなたの管理が悪いのよ。その短気な性格はいつ改めるの?」とたしなめる。
それでも「我慢できない」と口にする麗嬪に
「寵愛を受ければ調子にも乗るわ。それが続けば陛下も嫌気がさす、余氏がいい例よ」
と言い聞かせる華妃。
麗嬪は「のんきな」と言い、甄嬛が椒房を下賜されたことを持ち出し、今月もほとんど甄嬛が召されていると強い口調で言った。
それを聞いた華妃は怒った顔になり「まだ黙らないつもり?」と厳しい声で顔も見ずに言った。
「早く夜にならないかと首を長くしたぞ」と甄嬛の手を取り話しかける雍正帝。
甄嬛ばかりが召されていることに怒り、不満げな華妃、麗嬪、曹貴人。
曹貴人も「余氏がかわいく思えるほどです」と言った。
甄嬛に見立てた人形に針を刺し
「あさましい女」「死んでしまえ」「苦しんで死ねばいいのよ」「呪い殺してやるわ」と毒を吐く余氏。
皇后と妃嬪達の会合に遅れた甄嬛は詫びる。
皇后は「若いから寝過ごすこともある」と声をかけるが、冷めた空気が漂う。
皇后は甄嬛に子宝をに恵まれるようお祓いをした布団を贈ると言った。
それを聞いた華妃は「皇子でも誕生しようものなら斉妃に追いつくわ」と言い出す。
麗嬪は、斉妃は幸運だが第四皇子の母のように引き離されたら惨めだと言った。
皇后は皇子の事を軽々しく論じぬようたしなめる。
華妃は「第四皇子の母のことを口にするだけでも不吉だ」と言う。
皇后は皆に戻るよう言い渡し不機嫌な顔で去って行く。
斉妃は麗嬪に第四皇子の話をすれば皇后が怒ると話しかける。
それを聞いた華妃は「怒って体を壊すのは皇后よ放っておけば?」と言い残し去って行く。
甄嬛は第四皇子の事を沈眉荘に訊ねる。
身分の卑しい第四皇子の母親を雍正帝は嫌いで皇子は、円明園育ちだった。
「お嫌いだったのになぜお手付きに?」
「お酒の勢いだったそうよ
先帝に叱責されたこともあり当時の後継者争いで窮地に立たされたの
宮中では口にするのもご法度よ」
沈眉荘は周囲を警戒し声を潜めて説明する。
そこへ華妃と麗嬪が歩いてきたので二人は跪いてあいさつする。
麗嬪は、甄嬛が珍しく遅れてきたことを持ち出す。
「怠惰をお許し下さい」と甄嬛は答えるが「陛下に仕えてつかれているのよね」と嫌味を言われる。
甄嬛は「私めは浅はかなため失言があればお許し下さい」と再度詫びる。
華妃は、沈眉荘は暇そうなので「女論語」を写しておくよう指示し、必要な時に取りに行かせると言ってから近づいて行き
「沈貴人やせたわね。陛下に召されていないから?」と声をかける。
沈眉荘はうつむいたまま「暑くて食欲がないのです」と返すと今度は
「莞貴人が寵愛を独占し気が晴れないのでは?」と薄ら笑いを浮かべて聞いて来る。
「まさか」と短く答える沈眉荘に「莞貴人は聡明で美しく寵愛を受けて当然よ。
でも他人はともかく姉妹同然ならば寵愛を分け与えるものではない?」
しつこく食い下がる華妃。
~随感~
今まで日の目を見なかった甄嬛が、明らかにこれまでの寵妃とは違う特別な存在になったことを知ることになる妃嬪達、敵対する華妃はもちろん、親しい沈眉荘の心の揺れ動きを上手く描いていて40数分があっという間に過ぎた回でした。
床入れの慣例となっているお布団グルグルと安陵容への冷たい態度と比べたらわざわざ甄嬛を温泉に招くという心遣い、雍正帝惚れ込みましたね。
バラ風呂につかる甄嬛の前に現れる雍正帝にまたゾワッとしてしまいました。
心を整えているであろう甄嬛の為にゆっくり過ごさせて欲しいなと思ったのですが、わざわざ皇帝がエスコートした形になっていたので特別待遇ということになるのかな。
そして初めて見た弱気で憂いの表情の華妃が本音を話すシーンがよかった。
「陛下のお心を誰が測れるというの」
という言葉に心から共感。
月を見上げる華妃のお顔が美しかった。
同じく沈眉荘も甄嬛の超特別待遇を知って一人で過ごすことが耐えきれなくなって、敬嬪を頼って話を聞いてもらっていたんだなと思うと胸が痛くなりました。
余氏に心が移り沈眉荘への寵愛レベルが以前ほどではなくなったことで既に傷ついていただろうに次の相手は仲のいい甄嬛なので色んな思いが複雑に絡む感情になっているのだと思います、あぁ辛い。
でも甄嬛と沈眉荘、二人で会った時、明るく話をしつつ本音も漏らしていたので一安心しました。
甄嬛と沈眉荘、このコンビが大好きなので友情が続いて欲しいです。
まだ8話なのでこの先二人がドロドロ展開になるのではないかと心配してます。
一方華妃が弱気だったのはあの夜だけで、度を超えた甄嬛寵愛情報が続々入って来るので怒りを取り巻きにぶつけるいつもの華妃に‥。
一番陰湿だったのは余氏。
呪いの言葉と共に人形に針を刺して恨みを募らせてました。
狂気の一言。余氏の中の人、迫力ある演技でした(拍手)。
これは余氏の幽閉が一生続くよう祈念します。
甄嬛と沈眉荘の二人と会った華妃が離間策に出てきました。
眉荘ちゃん、煽り言葉に釣られてこんなわかりやすい策に引っかからないでーと思いながら見ていたら次回へ続くとなりました。
早く続きが見たい!!(アメドラ溜まり中‥)。