「姉妹同然なら寵愛を分け与えるものではない?」と問う華妃に
「嫉妬や恨みは婦女の徳に反しましょう。 愚鈍な私めでもその位は心得ています」
沈眉荘はうつむきながら答えるが、華妃はなおも
「他の者はどうかしら」
「反目や裏切りを嫌というほど目にして来たわ」
と責め立てる。
それを聞いた甄嬛は、
「忠告に感謝します。
娘娘が訓示するのは後宮の諍いを防ぐため私どもも慎むよう心がけます」と助け船を出す。
華妃は二人が後宮に慣れ口が達者になったと嫌味を言ってから「侮れないわ」と続けて
去って行く。
沈眉荘は、華妃が去ってから「少しは現実がわかった?」と甄嬛に言う。
沈眉荘の手を取り「私を責めないで」と言う甄嬛に
「誰かが寵愛されるのよ、ならばあなたの方がいい」と返す沈眉荘。
そして他の誰かなら自分を陥れるかもしれない、後宮で信頼できるのは甄嬛だけと続けた。
そう言ってくれた沈眉荘に「友情は変わらない」と返す甄嬛。
そして沈眉荘は、「寵愛は続かぬとも家族のために己を守らないと」と言った。
なかなか寝つけないでいる甄嬛に気づいた雍正帝は、理由を尋ねる。
甄嬛は、「怖いのです」と言ってから寵愛を得るほど恨みを買うと明かした上で後宮の混乱は政務に影響する、そして他の妃賓を冷遇すれば雍正帝は旧情を忘れたと噂が立ってしまう、「陛下を煩わせるのは不本意です」と語りかける。
雍正帝はそれを聞き甄嬛を抱き寄せて「わかった」と言ってやる。
十七皇弟の話になり、皇太后は「顔を見ると昔を思い起こしてしまう」と浮かぬ顔になる。
十七皇弟の母親舒太妃が寵愛を独占したことで周囲の恨みを買った話を持ち出す。
そして皇太后は、甄嬛が嬪になった時に会うと告げると雍正帝は嬉しそうに頷く。
帰り際、雍正帝は竹息から最近母親の見舞いに来たのが麗嬪だと聞き出した。
雍正帝は夜伽の札を見ながら誰にするか決めかねていると蘇培盛は、麗嬪の札が埃だらけなので作り直させると言って取り出した。
雍正帝は、甄嬛の札をなぞる。
サイコロで遊ぶ斉妃の下に小厦子が訪れ、雍正帝が来ることを知らせにやって来た。
半年以上ぶりと驚き喜ぶ斉妃は、桃色の衣装を用意するよう侍女に言った後、第三皇子を呼ぶよう命じるが小厦子は第三皇子を呼ぶことをやんわり忠告、それを聞き斉妃も取りやめることにした。
斉妃が今夜の伽の相手だと知った華妃は「珍しいわね」と言ってから、雍正帝から沈眉荘に帳簿を学ばせるようにと命があったことを思い出し、沈眉荘を呼ぶよう指示した。
そして部屋が明るすぎると言い出し、ロウソクを二本消すよう言いつけた。
雍正帝が斉妃の所へ行ったことを知らされた甄嬛は
「お願いしておきながらお越しにならないと気が滅入る」と沈んだ様子で呟く。
薄暗い中、筆写させられている沈眉荘。
沈眉荘の書いた物を見て字が乱れていると注意する華妃に「暗くてよく見えない」と答える沈眉荘。
それを聞いた華妃は、習字の腕があれば暗がりでも美しく書けると言ってから
「言い訳は見苦しいわよ」と叱る。
沈眉荘は、もう一度やり直すと申し出たが、華妃はもう二本ロウソクを消すよう命じた。
着飾り嬉しそうに雍正帝を見る斉妃だが、雍正帝は読み物に目を落としていて斉妃に見向きもしない。
菊花茶を差し出すも雍正帝は「人参の汁物作るのでは?」と不機嫌になる。
そして第三皇子の日々の頑張りと成果を次々話し出すも「聞き飽きた」と言われてしまう。
かつて雍正帝から一番似合うと褒められた桃色の衣装を身にまとっていることについても褒めたのは若い頃のことで「今何歳になる?」と呆れられる。
雍正帝は厳しい顔で「養心殿に戻る」と言って立ち去った。
浮かぬ顔の甄嬛は、琴を弾き語っている。
❝訪れぬ夫を待ち気は沈むばかり❞
浣碧から咎められるが「そもそも陛下を行かせたのは私」甄嬛はそう言って再び弾き始める。
輿に乗り養心殿へ戻る途中の雍正帝は琴を弾いている音を聞き、止まるよう命じる。
蘇培盛は、養心殿に戻るか翊坤宮に行くのか尋ねるが空気を読み取り碎玉軒へ行くよう指示する。
輿から降りた雍正帝は、甄嬛が弾いている曲を言い当て白居易の詩を口にし
「悲しんでおるのか」と甄嬛の心中を慮る。
目を閉じ琴を弾いている甄嬛。
「朕の心をかき乱した」と言って部屋に入って来た雍正帝に驚き慌てて跪く甄嬛。
「会えぬ悲しみとは何か朕もようやく味わえた」
その言葉を聞き甄嬛は雍正帝に近づき「斉妃のもとでは?」と尋ねる。
「会って来た」と答えてから
「今宵は月が美しいので寄ってみた。よい琴の音を聞き逃さなくて幸福だった」
と続けた。
それを聞き嬉しそうな甄嬛は「天子が盗み聞きなんて」とからかう。
雍正帝から罰にもう一曲と言われ甄嬛は「四郎 何の曲を」と聞くが「今何と」と聞き返された甄嬛は、「失言でした」と詫びるが雍正帝は気に入り、甄嬛のことを「嬛嬛」と呼ぶと決めた。
甄嬛は、「嬛嬛」と口にし嬉しそうな顔になる。
再度書き終えた沈眉荘は念のため二部写したと言って華妃に見せる。
華妃は、眠そうに戻ってもよいと言った。
疲れ切っている沈眉荘に侍女は雍正帝に今夜のことを報告するか尋ねる。
沈眉荘は、帳簿を学ばせよと命じたのを利用してした嫌がらせなので雍正帝に知らせたら助けてくれるだろうが二度と後宮の管理を学ばせなくなるのでそんな危険は冒さないと答える。
沈眉荘は、翊坤宮近くの池にいる鯉を見に行く。
鯉に給餌していたが餌が足りなくなったので太監に取りに行かせる。
そこへ頌芝がやって来て墨を渡すのを忘れていたと言ってやって来た。
沈眉荘は、采月に墨を取りに翊坤宮へ行かせる。
一人で池の鯉に給餌している沈眉荘の後ろから近づく人影。
沈眉荘は、背中を思いきり押され、池に落ちてしまう。
暗がりで誰もいない中、「助けてお願い」と助けを呼ぶ。
雍正帝は甄嬛、敬嬪を連れて沈眉荘の見舞いに訪れるが、容態はについて無事であったが水を飲み過ぎてまだ意識が戻っていないと知らさせる。
そして体はじきに回復するだろうが、しばらく精神的に安定しないことという見通しも付け加えられた。
寝台で意識が戻らぬまま眠っいている沈眉荘。
甄嬛は駆け寄り「眉荘さん」と呼びかける。
雍正帝は、沈眉荘の侍女たちに「何をしていた」と叱責する。
太監は、えさを取りに行く途中悲鳴を聞いたと証言し、采月は頌芝から墨を渡すと言われたと話す。
それを聞きいぶかし気な顔になる甄嬛。
そこへ華妃が現れ、沈眉荘の手に触れ
「かわいそうに。なぜこんな目に遭うの?」
と話しかける華妃の顔を甄嬛は厳しい表情で見つめる。
華妃は雍正帝に自分の責任なので罰をと申し出るが、雍正帝は華妃を罰すれば皇后も罰しないといけないと言った。
華妃は、沈眉荘の侍女たち叱責し慎刑司送りにするよう雍正帝に提案する。
それを聞き、驚き振り返る甄嬛。
「そこまでしなくても」と言った敬嬪に華妃は「咸福宮の主位の責任も免れない」と牽制、結局敬嬪は「分かりました」と言うしかなかった。
甄嬛は、全てが二人の責任ではないとして「情を」と願い出る。
沈眉荘に仕えることで罪を償わせることを提案する。
華妃は「罪を赦せと?」と怒り「悪しき例を作る」として反対する。
それでも甄嬛は。急に慎刑司送りになれば沈眉荘が心を許せる者がいなくなると食い下がるが、華妃は
「世話をできない者を置いても無駄だ」
「ましてや池は翊坤宮近くよ」
「こんな事態となったのに黙っておけない」
と取り合わない。
甄嬛は「近いからこそです」と切り出し、事情を知らない者は華妃が厳罰に処したことを翊坤宮に疑いがかかることを恐れているという憶測を抱くので華妃の名誉のため考え直すよう再び願い出る。
返事に窮する華妃。
「莞貴人の言う通り」それまで黙って聞いていた雍正帝が口を開く。
沈眉荘が目覚めてから慎刑司送りにしてもおかしくないと言ってその場を収めた。
甄嬛は、侍衛の救護が遅かったことで沈眉荘が意識不明になったとして翊坤宮の侍衛を総入れ替えするよう申し出るが、華妃は沈眉荘の侍女と侍衛、罰に偏りがあると反対する。
甄嬛は、怠惰な侍衛では寵妃を守れない、そして入れ替えならば罰に当たらないと話す。
雍正帝は
「罰はともかく決して再発させてはならぬ。
明日蘇培盛より有能な者を侍衛に当たらせる」とする結論を下す。
華妃は、雍正帝に作らせている汁物がそろそろ出来上がると言って翊坤宮へ誘う。
雍正帝は甄嬛に対し一緒にと誘うが、甄嬛は沈眉荘の看病のためここに残ると言って断った。
「あの女のせいで侍衛が総入れ替えされた」華妃は不機嫌な顔で言った。
華妃は「余氏に仕える者は?」と尋ねる。
以前仕えていた宮女は余氏がわめき散らして追い出したと答える麗嬪。
華妃は、康禄海は薄情だが弟子の小印子は忠義に厚いと言い、小印子を余氏に仕えさせるよう命じた。
剪秋から沈眉荘のことを黙認するのかと聞かれた皇后は、
「華妃の上機嫌な様子を見れば察しもつくわ」と返し、雍正帝からお達しがあった以上どうにもならないと話す。
「陛下が御存じなければ意味がないし、後宮の争いを望まれてもいない
うやむやでも仕方がないわ」と結論付けた。
うなされ目を覚ました沈眉荘の手を握る甄嬛。
沈眉荘は「誰かに殺されかけたの」と打ち明け、後ろからすごい力で押された事、そしてそれが太監か侍衛の仕業だと証言する。
甄嬛は太監や侍衛は大勢いるとし、心当たりはないか尋ねると
「命まで狙おうとするなんて
こんな暴挙に出るのはただ一人‥」と答え沈眉荘は咳き込んだ後
「でも池は翊坤宮の目と鼻の先、彼女だったら疑われぬよう離れた場所を選ぶはず」
と疑問を投げかける。
甄嬛は「疑われてもかまわないのよ」と言い、
「夜中に着飾りここに来て采月らに罰を下そうとし陛下まで連れ出した」
「翊坤宮のそばで横暴が許されるのは他でもない華妃本人よ、危険な策ね。
自ら疑いを招くようなものよ」
と語りかける。
「私たちを今のうちに抑えようとしたのね
一人排除すれば残りは孤立無援となり対抗できない」
沈眉荘の言葉に甄嬛は手を握り「ごめんなさい巻き込んで」と謝る。
「いいのよ」と言って甄嬛の手を握り返す沈眉荘は
「寵愛を得て華妃から早々に目の敵にされた
でも私は陛下の為と敢えて受け流し続け相手にしなかったのよ」と言葉を続ける。
甄嬛からこれからどうするのかと尋ねられるが証拠がないのでどうしようもないと嘆き陛下に報告すると言った。
❝私めの‥❞ ❝私めの不注意で池に落ちてしまった❞と。
だが続けて
「このまま黙ってはない。一命を取り留めたのよ。この借りはゆっくり返してやるわ」と決意を語る。
~随感~
甄嬛と雍正帝の仲が深まりつつある中、9話にして早くも沈眉荘の命が狙われてしまう展開にはらはらしてました。
華妃の煽り型離間策を沈眉荘の冷静な返しと甄嬛の助け舟、連携プレーで乗り切ることができて一安心。
相変わらす華妃の癖のある言い方と憎々しい表情は腹が立つけど引き込まれます。
魅力的で演技力の高い女優さんが多いなぁ。
個人的に心に残ったのは雍正帝と斉妃のシーンです。
かつて寵妃だった人が年齢を経てとどうなるのか、もうとにかくリアルでした。
陛下が来てくれることを期待することすらなくなってサイコロ遊びに興じてる斉妃の姿
に哀愁を感じました。
そしてまさかのご来訪が伝えられ有頂天でかつて褒めてくれた桃色の衣装を着るも「今何歳になる?」という見てるこちら側も辛くなるストレートすぎる指摘を雍正帝の真顔付きで受けてしまいました。
斉妃からしたら若い頃、皇帝から桃色の衣装を褒めてもらったことは一生の想い出で、「あの頃の自分を演出したい!」という気持ちはわかります、そして無理があることもわかります(笑。
雍正帝が斉妃を見る目の情の無さときつい言い方に見ていて段々腹が立ってきました。
そんな雍正帝は甄嬛に夢中で年甲斐もなく「四郎「嬛嬛」と呼び合う事を決めたみたいですが、斉妃に年齢のことを突っ込める立場でもないような‥。
華妃の沈眉荘に対する暗がりの中、筆写させる陰湿な嫌がらせは想定内の出来事でしたが、まさかその後命を奪う実行行為に出るとはびっくりしました。
今回は助かりましたが暗がりの中でもきちんと筆写をやりこなし、念のため二部作成するしっかり者なので改めて脅威を感じたであろう華妃がどう出るのか心配です。
そして沈眉荘が華妃に報復するつもりなのも気がかりです。